相続した実家を売り、「空き家特例(3,000万円控除)が使えそう」と分かったものの、「確定申告で何を書けばいいのか」「区役所で取る確認書とは何か」「書類はいつまでにそろえればいいのか」で手が止まっていませんか。
この記事では、空き家特例を使うときの確定申告の手順・書き方・必要書類と、区役所で取る「被相続人居住用家屋等確認書」の取り方を、2026年11月時点の国税庁・国土交通省・墨田区・江戸川区の公式情報をもとに、実際の作業の順番で解説します。
- 確定申告までの流れと、逆算したスケジュール
- 売り方(家を残す・解体する・買主が解体する)別の必要書類
- 「被相続人居住用家屋等確認書」の取り方と、墨田区・江戸川区の窓口・必要書類・日数の早見表
- 譲渡所得の内訳書・申告書の書き方と、よくある間違い
- 墨田区・江戸川区の税務署の管轄と、申告書の郵送先
結論から言うと、空き家特例の申告は「区役所の確認書を早めに取り、申告書に『措法35条3項』と書いて内訳書5面まで添付する」ことが要です。
この記事の結論
- 空き家特例は、税額が0円になる場合でも、売った翌年の2月16日〜3月15日に確定申告をしないと受けられません。
- 申告書第三表の特例適用条文欄に「措法35条3項」と書き、譲渡所得の内訳書(1〜4面と5面)を添付します。
- 確認書は物件のある区役所で取ります。墨田区は安全支援課で交付まで2〜3開庁日、江戸川区は建築指導課監察係で来庁前の予約が必要です。
- 必要書類は売り方で変わり、家を残して売る場合は耐震基準適合証明書も必要です。
- 買主が解体する場合は、売った翌年2月15日までの解体完了後に確認書を申請するため、日程に余裕がありません。
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空き家特例の確定申告とは
空き家特例の確定申告とは、相続した親の家を売って出た利益(譲渡所得)から最大3,000万円を差し引くために、必要書類を添えて税務署に申告する手続きのことです。特例は申告して初めて適用されるため、手続きを忘れると本来払わなくてよい税金がかかります。
空き家特例の正式名称は「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」で、根拠は租税特別措置法35条3項です。国税庁によると(2026年4月1日現在の法令等)、主な要件は次のとおりです。
| 項目 | 要件の要点 |
|---|---|
| 建物 | 昭和56年5月31日以前に建築され、区分所有建物(マンション等)でない家 |
| 相続前 | 亡くなった方(被相続人)が1人で住んでいた。老人ホーム入所も一定の要件で対象 |
| 相続後 | 売るまで誰も住まず、貸したり事業に使ったりしていない |
| 売却期限 | 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(例:2023年に相続→2026年12月31日まで、2024年に相続→2027年12月31日まで)、かつ2027年12月31日まで |
| 売却代金 | 1億円以下(1億円を超えると対象外) |
| 控除額 | 1人最大3,000万円。2024年1月以後の売却で相続人が3人以上なら1人2,000万円 |
要件の詳しい解説や、売り方・費用の比較は「空き家売却の方法・費用・特例|3,000万円控除の要件と期限」にまとめています。区分所有建物の登記がある家(マンションなど)は対象外で、江戸川区で相続したマンションの売り方と使える特例は「江戸川区で相続したマンションの売却|手順・管理費・税金と旧耐震の売り方」で解説しています。この記事では、要件を満たしている前提で「申告の手続き」と「確認書の取り方」に絞って説明します。
確定申告までの流れとスケジュール
空き家特例の申告は、要件確認から税務署への提出まで6つの段階で進みます。ポイントは、区役所の確認書が申告に間に合うよう、売却前から逆算して動くことです。

- 要件を確認する:建築年は登記事項証明書、同居人の有無は住民票の除票で確認します。売却期限(相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日)もここで確定させます。
- 売買契約・引き渡し:解体や耐震改修を売主・買主のどちらがいつまでに行うかを、売買契約書に明記します。
- 解体・耐震改修の完了:売主が行う場合は引き渡し前、買主が行う場合は売った翌年の2月15日までに完了させます。
- 区役所で確認書を申請:物件のある区に「被相続人居住用家屋等確認書」を申請します。
- 内訳書・申告書を作成:国税庁の「確定申告書等作成コーナー」か手書きで作ります。
- 税務署へ確定申告:売った翌年の2月16日〜3月15日に提出します。
たとえば2026年中に売った場合、申告期間は2027年2月16日(火)〜3月15日(月)です。買主が解体する契約なら、解体完了(2027年2月15日まで)を待ってから確認書を申請するため、申告期限までの残りは約1か月しかありません。解体業者の日程と区役所の混雑を考え、買主には年内〜1月中の完了をお願いしておくと安全です。
現行の特例は2027年12月31日までの売却が対象で、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日という期限もあります(国税庁No.3306、令和8年4月1日現在法令等)。たとえば2023年に相続した家は、2026年12月31日までに売らなければ特例を受けられません。2027年中に売る場合は、買主の取壊し・耐震改修の期限が2028年2月15日、申告期間が2028年2月16日〜3月15日になります。年末近くに売る場合は、契約と引き渡しの日程に余裕を持たせ、どの日が「売った日」になるかも税務署や税理士に確認しておきましょう。
空き家特例の必要書類一覧【売り方別】
空き家特例の必要書類は、「家を残して売る」「解体して更地で売る」「買主が売却後に解体・耐震改修する」の3パターンで変わります。どのパターンでも、譲渡所得の内訳書・登記事項証明書・確認書・売買契約書の写しは共通です。

| 書類 | 取得先 | ポイント |
|---|---|---|
| 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)〔土地・建物用〕 | 国税庁サイト・税務署 | 1〜4面に加えて、空き家特例用の5面も添付 |
| 登記事項証明書 | 法務局(オンライン請求可) | 相続で取得したこと、建築時期、区分所有でないことが分かるもの。解体した場合は閉鎖事項証明書 |
| 被相続人居住用家屋等確認書 | 物件のある区役所 | 申請から交付まで数日かかる |
| 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し | 建築士・指定確認検査機関など | 家を残して売る場合。売る日の前2年以内に調査したもの |
| 売買契約書の写し | 手元の契約書 | 売却代金が1億円以下であることを示す |
出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(2026年4月1日現在の法令等)。登記事項証明書は、「譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書」に不動産番号を書けば、添付を省略できます。
買主が売却後に耐震改修した場合は、その工事の完了後に取った耐震基準適合証明書、解体した場合は取壊しが分かる登記事項証明書(閉鎖事項証明書)などを添付します。同じ年に自宅(マイホーム)も売った場合の申告の手順は「不動産売却後の確定申告は必要?自宅・マンションの3,000万円控除と手順」、書類の入手先は「土地の売却後の確定申告に必要な書類|入手先と取得費の調べ方」もあわせてご覧ください。
どの売り方を選ぶかで、必要書類だけでなく手取りも変わります。古家付きのまま売るか、解体して更地で売るかの判断と手取りの比べ方は「江戸川区の土地は古家付きか更地か|解体の判断と手取り比較」「墨田区の土地は古家付きか更地か|解体の判断と手取り比較」で解説しています。
被相続人居住用家屋等確認書の取り方
被相続人居住用家屋等確認書とは、「亡くなった方が1人で住んでいた家で、相続後は空き家だった」ことを、物件のある市区町村が確認して交付する書類のことです。空き家特例の申告に欠かせず、確定申告の時期は窓口が混むため、売却後すぐに申請するのが基本です。
申請先は、申告する人の住所ではなく「家屋があった市区町村」です。たとえば、千葉県に住む相続人が墨田区の実家を売った場合、確認書は墨田区役所に申請し、確定申告は千葉県の住所地の税務署に提出します。
申請様式は売り方で3種類
| 様式 | 対象 | 主な添付書類(共通書類以外) |
|---|---|---|
| 様式1-1 | 耐震基準を満たした家を、敷地とともに売った | 家屋・敷地の登記事項証明書など |
| 様式1-2 | 家を取り壊してから敷地を売った | 家屋の閉鎖事項証明書、更地であることが分かる写真 |
| 様式1-3 | 売った後、翌年2月15日までに買主が耐震改修・取壊しをした(2024年1月以後の売却) | 耐震改修・取壊しの特約がある売買契約書(覚書でも可)、耐震基準適合証明書と工事の請負契約書・領収書、または閉鎖事項証明書 |
出典:国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)について」制度の詳細(2026年11月2日確認)。様式は国土交通省のホームページからダウンロードでき、墨田区・江戸川区ともに区のページから国土交通省の様式を案内しています。
様式1-2(解体してから売る場合)では、区が疑問を持ったときに、取壊し前の家屋の写真や所在地図を求められることがあります。解体の前に建物の外観写真を撮っておきましょう。家が未登記で閉鎖事項証明書を出せない場合は、解体工事の請負契約書のコピーと工事費用の請求書・領収書などで代えます(国土交通省「制度の詳細」)。
様式1-3で必要な売買契約書の特約(国土交通省の例)
買主が売却後に耐震改修・取壊しをする売り方(様式1-3)では、売買契約書の特約か覚書に、その約束を書いておきます。国土交通省は、特約がなくても確認書の発行はできるとしつつ、特例を受けるには買主の協力が欠かせないため、トラブルを防ぐ観点から特約などを確認事項にしています(「制度の詳細」のよくあるご質問)。同省が公表している「特約等の例」は、次の3点で構成されています。
- 売主が空き家特例を受けることを前提に、売買価格などの条件を決めたことを、売主・買主で確認する
- 買主が自分の責任と負担で耐震改修または取壊しを終える期日と、特例に必要な書類を売主に渡す期日を決める
- 買主が工事を終えられない、または書類を渡さないことで売主が特例を受けられなかった場合は、本来受けられた控除による税額に相当する損害賠償を請求できる(買主の責任ではない事情の場合を除く)
例文は、当事者が合意した内容に合わせて修正して使うものとされています。工事の完了期日は法定の期限(翌年2月15日)より前に設定し、確認書の申請と確定申告に間に合うよう、引き渡しの日から逆算して決めましょう。
共通で必要な書類
国土交通省の案内では、どの様式でも次の書類で要件を確認します。原則として原本(コピー不可)を求められる書類があるため、取り寄せは早めに始めましょう。

| 確認すること | 書類 | 注意点 |
|---|---|---|
| 親が亡くなる直前までその家に住んでいた | 被相続人の住民票の除票の写し | 原則コピー不可。相続開始日の確認も兼ねる |
| 親のほかに住んでいた人がいない | 相続人の住民票の写し | 相続開始の直前から売却時までの住所が分かるもの。2回以上引っ越している場合などは戸籍の附票の写し |
| 家と土地を相続した人の数 | 家屋・敷地の登記事項証明書 | 原則コピー不可。相続登記が済んでいない場合や換価分割の場合は遺産分割協議書など |
| 相続後に空き家だった(貸していない・住んでいない) | 売買契約書のコピー+電気・水道・ガスの使用中止日が分かる書類、または宅建業者が「現況空き家」と表示した広告など | 使用中止日(閉栓日・契約廃止日)が相続開始日以後であることが分かるもの |
相続人の数を登記事項証明書で確認するため、相続登記を済ませてから売るのが一般的な流れです。墨田区・江戸川区の相続登記の進め方は「墨田区の相続登記は売却前に|墨田出張所・焼失戸籍と書類リスト」「江戸川区の相続登記は売却前に|法務局江戸川出張所と書類リスト」で解説しています。
「空き家だったこと」を示す書類
相続から売却まで誰も使っていなかったことは、次のような書類で示します。
- 電気・ガスの閉栓証明書、水道の使用廃止の控え、料金の請求書・領収書・支払い証明書、通帳のコピーやクレジットカードの利用明細(最終の引き落とし日が分かるもの)など、使用中止日が分かる書類
- 不動産会社が「現況空き家」として売り出していたことが分かる広告(解体前提なら「取壊し予定あり」と表示したもの)
- 空き家バンクへの登録の証明書や、市区町村が認める管理者による管理の証明書など
実務では、電気・ガス・水道を相続後もしばらく契約したままにしているケースがよくあります。基本料金だけで使用量がほぼゼロでも、閉栓や廃止の日付が売却直前になると説明を求められることがあるため、検針票や請求書の記録は捨てずに保管しておきましょう。売却を当社のような宅建業者に依頼する場合は、販売図面や広告に「現況空き家」と表示しておくと、この書類として使えます。
遺品整理や片付けのために相続人が実家に住み始めたり、一時的に人に貸したりすると、「相続の時から売るまで、住む・貸す・事業に使うことがなかった」という要件から外れます(国税庁No.3306)。片付けの順番や費用、家財を残したまま売る方法は「墨田区の遺品整理と実家売却|粗大ごみ・仏壇・搬出と買取」「江戸川区の遺品整理と実家売却|順番・費用・粗大ごみと買取」で解説しています。
親が老人ホームに入所していた場合
親が亡くなる前に老人ホーム等に入所していた場合も、要介護・要支援の認定を受けていたなど一定の要件を満たせば対象になります。その場合は、次の書類が追加で必要です(国土交通省「制度の詳細」より)。
- 介護保険の被保険者証のコピーなど、要介護・要支援認定を受けていたことが分かる書類
- 老人ホーム等の名称・所在地・施設の種類が分かる書類(入所時の契約書など)
- 入所後も家を一定使用していたことが分かる書類(電気・水道・ガスの契約名義と使用中止日が分かる書類、施設が持つ外出・外泊の記録のコピーなど)
入所中に一時的に家へ戻って滞在したり、家財道具の置き場として使ったりしていた場合も「一定使用」に当たります。なお、親族の家や一般の賃貸住宅に移って亡くなった場合は、この特例を受けられません(いずれも国土交通省「制度の詳細」のよくあるご質問より)。施設の記録は退所後に取り寄せにくくなるため、特例を使う可能性があるなら、相続後すぐに施設へ依頼しておくと安心です。
書類がそろわないときは代替書類を相談
住民票の記載だけでは要件を確認できない場合でも、代替書類・補完書類や申請者への聞き取りで要件を確認できれば、確認書が交付される場合があります。必要な代替書類は事情によって違うため、申請先の区へ事前に相談してください(国土交通省「制度の詳細」の注意事項より)。
墨田区・江戸川区の被相続人居住用家屋等確認書|窓口・必要書類・日数の早見表
墨田区の物件は区役所5階の安全支援課 安全支援・空き家対策担当、江戸川区の物件は区役所第三庁舎の建築指導課 監察係が確認書の窓口です。どちらも来庁前に電話での連絡(江戸川区は予約)が必要で、確定申告の時期は混み合うため、売却後すぐに申請するのが安全です。

| 項目 | 墨田区 | 江戸川区 |
|---|---|---|
| 担当窓口 | 安全支援課 安全支援・空き家対策担当(墨田区役所5階) | 建築指導課 監察係(江戸川区役所第三庁舎 5番窓口) |
| 所在地 | 墨田区吾妻橋一丁目23番20号 | 江戸川区役所(中央一丁目)第三庁舎 |
| 電話 | 03-5608-6520 | 03-5662-6489 |
| 来庁前 | 事前に電話で連絡 | 職員が少ないため事前予約が必要 |
| 申請様式 | 国土交通省の様式1-1・1-2・1-3 | 国土交通省の様式1-1・1-2・1-3 |
| 受け取り方法 | 窓口または郵送(郵送は申請時に返信用封筒を提出) | 予約時に確認 |
| 交付までの日数 | 2〜3開庁日。当日発行は不可。確定申告の時期はさらにかかる場合あり | 区のページに記載なし。予約時に確認 |
| 代理人が申請する場合 | 区に事前確認 | 委任状が必要(様式は自由) |
| その他 | 窓口で受け取る場合は、交付が決まると担当者から連絡がある | 提出した添付書類は返却されない |
出典:墨田区「被相続人居住用家屋等確認書の交付について」(2026年4月1日更新)、江戸川区「江戸川区の空き家の取組み」(2026年4月1日更新)。2026年11月2日に、どちらのページも内容に変更がないことを確認しました。墨田区は、確認書は特例措置を確約した書類ではないとし、特例の要件は管轄の税務署に問い合わせるよう案内しています。江戸川区のページにこの記載はありませんが、国土交通省も、確定申告に必要な書類や申告の方法は国税庁のホームページか税務署で確認するよう案内しています(「制度の詳細」の注意事項)。
墨田区・江戸川区で必要書類を取る場所
確認書の添付書類は、取る場所がばらばらです。墨田区・江戸川区の物件の場合の主な取得先をまとめました。
| 書類 | 取る場所 | ひと言メモ |
|---|---|---|
| 被相続人の住民票の除票の写し | 親の最後の住所地の区役所(郵送請求も可) | 墨田区・江戸川区の実家なら、その区で取るのが基本 |
| 相続人の住民票の写し・戸籍の附票 | 相続人それぞれの住所地・本籍地の市区町村 | 相続人が複数いれば全員分を集める |
| 登記事項証明書・閉鎖事項証明書 | 全国の法務局(オンライン請求も可) | 管轄は東京法務局墨田出張所・江戸川出張所。手数料は1通あたり書面600円、オンライン請求で郵送520円・窓口受取490円(2025年4月1日から)。解体後は建物滅失登記が済んでから閉鎖事項証明書を取る |
| 電気・水道・ガスの使用中止日が分かる書類 | 各事業者(請求書・領収書・通帳のコピーでも可) | 解約時に閉栓日の記録をもらっておく |
| 売買契約書のコピー | 手元の契約書 | 買主が解体する場合は特約部分(または覚書)も |
スケジュールの目安|1月中の申請がおすすめ
確認書は申告の添付書類なので、遅くとも申告期限(3月15日)の前に手元にそろっている必要があります。国土交通省も、2月16日〜3月15日が近づくと申請窓口が混み、通常より時間がかかると注意を呼びかけています。
- 売却の前:住民票の除票・戸籍の附票・施設の記録など、後から取りにくい書類を集める
- 引き渡しの直後:家を残して売った・解体してから売った場合は、すぐに区へ連絡・予約して申請する
- 買主が解体・耐震改修する場合:工事完了と滅失登記(または耐震基準適合証明書の発行)を待って、1月中〜2月上旬に申請する
- 交付後:確認書を受け取ったら、内訳書・申告書と一緒に税務署へ提出する
確定申告書・譲渡所得の内訳書の書き方
書き方の要点は、内訳書で譲渡所得を計算して5面に被相続人の情報を書き、申告書第三表に「措法35条3項」と特別控除額を書くことです。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で画面に沿って入力すれば、内訳書と申告書は自動で作成できます。

ただし、母屋と離れのように用途上不可分の建物が2つ以上ある敷地を売った場合は、作成コーナーで内訳書を作れません。手書きなどで内訳書を作り、その計算結果を作成コーナーの「計算結果入力」画面に入力して申告書を作ります(国税庁「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受ける場合の『譲渡所得の内訳書』の書き方」令和7年12月)。この場合、特例の対象になる土地は、建物全体の床面積のうち母屋の床面積が占める割合に応じた部分に限られます(国税庁No.3306)。
譲渡所得の内訳書(1〜5面)
- 1面:住所・氏名など申告する人の情報を書きます。
- 2面:売った土地・建物の所在地、面積、利用状況、売った日、買主の住所・氏名、売却価格を書きます。共有の場合は自分の持分に応じた金額です。
- 3面:取得費と譲渡費用を書きます。相続した家は、親が買ったときの価格と時期を引き継ぎます。契約書がなければ売却価格の5%を概算取得費にできます。譲渡費用には仲介手数料・印紙税・売主負担の解体費などを入れます。
- 4面:「収入金額−必要経費」で譲渡所得を計算し、特例適用条文と特別控除額を書きます。
- 5面:空き家特例用の面です。被相続人の氏名・死亡日・住所、家屋の所在地・床面積、取得した持分のほか、ほかに家を相続した相続人がいる場合はその人の情報を書きます。
確定申告書(第一表・第三表)
土地・建物の譲渡所得はほかの所得と分けて計算するため、申告書第一表に加えて分離課税用の第三表を使います。第三表の「特例適用条文」欄に「措法35条3項」と書き、長期譲渡(相続した家は親の所有期間を引き継ぐので多くは5年超)の欄に収入金額、特別控除額、課税される所得金額を記入します。会社員の方は、源泉徴収票の給与所得もあわせて第一表に書きます。
計算例(仮定の数値)
江戸川区の実家(昭和50年築の木造)を兄弟2人で2分の1ずつ相続し、古家付きのまま5,000万円で売り、買主が翌年1月に解体したケースを仮定します。親が買ったときの書類はなく、概算取得費を使うとします。
| 項目 | 1人あたりの金額 |
|---|---|
| 収入金額(5,000万円×1/2) | 2,500万円 |
| 取得費(概算取得費 5%) | 125万円 |
| 譲渡費用(仲介手数料・印紙税の1/2) | 約86万円 |
| 譲渡所得 | 約2,289万円 |
| 特別控除額(相続人2人なので上限3,000万円) | 約2,289万円 |
| 税額 | 0円(特例なしなら約465万円) |
特例を使わない場合は、長期譲渡所得の税率20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%、国税庁No.3208)で、1人約465万円の税金がかかる計算です。2027年分からは防衛特別所得税が始まりますが、同じ分だけ復興特別所得税が下がるため、合計の税率(20.315%)は変わりません(国税庁が2026年5月に公表したQ&A)。2人とも確定申告をして初めて、税額が0円になります(いずれも仮定の数値です)。この例では、江戸川区で確認書(様式1-3)の交付を受け、2人がそれぞれの住所地の税務署に申告します。特例が使えない場合も含めた空き家の売却の税金の計算は「空き家を売却する際の税金はいくら?計算例と申告の手順」で解説しています。
空き家特例の申告でよくある間違いと注意点
空き家特例の申告でつまずきやすいのは、「税額0円なら申告不要と思い込む」「ほかの特例との関係を見落とす」「相続人どうしの情報共有が足りない」の3点です。
- 税額0円でも申告が必要:特例は申告書に記載して初めて適用されます。期限を過ぎても期限後申告で特例を受けられる場合がありますが、無申告加算税などがかかることがあるので、早めに税務署か税理士に相談しましょう。期限を過ぎたときのペナルティと救済策は「相続の手続き期限が過ぎたら?ペナルティと救済策を一覧で解説」にまとめています。
- 自宅の売却と同じ年なら合計3,000万円まで:同じ年に自分のマイホームも売って居住用財産の3,000万円特別控除を使う場合、空き家特例と合わせた控除額は3,000万円が上限です。
- 取得費加算の特例とは選択:相続税を払った人が使える「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」とは併用できません。どちらが有利かは「空き家売却の税制優遇|3,000万円控除と取得費加算の比較」で比べ方を確認してください。
- 相続人の人数と1億円の判定:相続人が3人以上なら控除額は1人2,000万円です。また、ほかの相続人が同じ家の持分を売った場合は合計額で1億円以下かを判定するため、売却の時期や金額を相続人どうしで共有しておきます。特例を受けた後でも、売却の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、自分やほかの相続人が残りの部分を売って合計が1億円を超えたときは、その売却の日から4か月以内に修正申告と納税が必要です(国税庁No.3306)。
- 住民税の申告は不要:確定申告をすれば区へ情報が送られるため、住民税の申告を別に行う必要はありません。翌年度の住民税に反映されます。
- 売却後の耐震改修は期間内の工事が必須:売った後に耐震改修をせず、耐震基準適合証明書だけを取った場合は、2024年からの拡充の要件を満たしません(国土交通省のよくある質問より)。
兄弟で共有している場合は、それぞれが自分の持分で内訳書を作り、別々に確定申告をします。確認書の申請に必要な住民票の写しは相続人全員分が必要になるため、申請の前に相続人どうしで取りまとめ役を決め、確認書を何通申請するかも区に相談しておくと手間が減ります。共有名義の申告の進め方は「共有名義の不動産を売却したときにかかる税金と確定申告の書き方」をご覧ください。
なお、以前は「引き渡し後に買主が建物を取り壊す特約付きの売却は特例の対象外」とされていましたが、2024年1月1日以後の売却からは、翌年2月15日までに買主が取壊しや耐震改修をすれば対象になります(国税庁No.3306)。古い情報のまま判断しないよう注意してください。空き家特例の対象にならない土地だけの売却などの申告は「相続した土地を売却したら確定申告は必要?税金と書き方」、相続税・準確定申告との順番は「不動産の相続・売却で必要な申告|準確定・相続税との違いと順番」で解説しています。
相続・贈与の不動産、どうするか迷ったら
売る・貸す・持ち続けるの整理からお手伝いします。ご相談は無料・秘密厳守です。
電話 0800-600-0363(9:00〜18:00/火・水定休)
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墨田区・江戸川区で申告するときの税務署と地域事情
墨田区・江戸川区の空き家を売った場合、確認書は「物件のある区役所」、確定申告は「申告する人の住所地の税務署」と、提出先が別々になる点に注意が必要です。区内にお住まいの相続人は、町名によって申告先の税務署が分かれます。
| 税務署 | 所在地・電話 | 主な管轄の町名 |
|---|---|---|
| 本所税務署 | 墨田区業平1丁目7番2号/03-3623-5171 | 吾妻橋・石原・押上1丁目・押上2丁目(31〜43番を除く)・亀沢・菊川・錦糸・江東橋・太平・立川・千歳・業平・東駒形・本所・緑・向島・横網・横川・両国 |
| 向島税務署 | 墨田区東向島2丁目7番14号/03-3614-5231 | 押上2丁目(31〜43番)・押上3丁目・京島・墨田・立花・堤通・東墨田・東向島・文花・八広 |
| 江戸川北税務署 | 江戸川区平井1丁目16番11号/03-3683-4281 | 一之江1〜8丁目・江戸川1〜4丁目・小岩(北・西・東・南)・小松川・東小松川・鹿骨・篠崎町・南篠崎町・中央・平井・松江・松島・瑞江・東瑞江・西瑞江3・4丁目・春江町1〜4丁目・谷河内など |
| 江戸川南税務署 | 江戸川区清新町2丁目3番13号/03-5658-9311 | 葛西(北・中・西・東・南)・清新町・臨海町・船堀・宇喜田町・一之江町・二之江町・堀江町・江戸川5・6丁目・西瑞江5丁目・春江町5丁目 |
出典:国税庁「東京都墨田区・江東区」「東京都江戸川区」(税務署所在地・案内の管轄地域、2026年11月2日確認)。「向島」1〜5丁目は本所税務署の管轄、「西瑞江」は3・4丁目が江戸川北・5丁目が江戸川南、「春江町」は1〜4丁目が江戸川北・5丁目が江戸川南のように、名前だけでは分からない町もあるため、丁目・番地まで確認してください。
申告書を郵送する場合の送り先にも注意が必要です。国税庁の本所・向島・江戸川北・江戸川南の各税務署のページでは、申告書等の郵送先をいずれも税務署ではなく「東京国税局東京上野業務センター」(〒110-8655 台東区池之端1丁目2番22号 上野合同庁舎)とし、宛名には「(本所税務署)」のように管轄の税務署名を添えて示しています。2025年1月からは申告書等の控えに収受日付印が押されなくなったため、書面で出すときは提出用だけを送ります。
税務署へ出向く場合は、受付時間にも注意しましょう。国税庁は2026年8月3日、同年10月1日以降、全ての税務署で総合窓口の受付時間を原則として午前9時〜午後3時にすると公表しました(開庁時間は午前8時30分〜午後5時のままです)。面接での相談には、税務署での事前予約が必要です。
e-Taxで申告する場合は、被相続人居住用家屋等確認書・登記事項証明書・耐震基準適合証明書等・売買契約書の写しといった添付書類を、書面の代わりにPDFのイメージデータで提出できます(e-Tax「イメージデータで提出可能な添付書類(所得税確定申告等)」令和8年4月)。郵送や窓口の混雑を避けたい方は検討するとよいでしょう。墨田区にお住まいの方の申告会場や提出方法は「墨田区の不動産売却と確定申告|本所・向島税務署の管轄と手順」、江戸川区にお住まいの方の申告先と税金の計算は「江戸川区の不動産売却の税金|計算例・3,000万円控除と申告先」で詳しく解説しています。
地域の事情としては、京島・八広・東向島(墨田区)や南小岩・平井・松島(江戸川区)など、木造住宅が密集する地域に昭和56年5月以前の戸建てが多く、空き家特例の築年要件に当てはまりやすい傾向があります。一方で、路地の奥の土地は解体すると建て直せない「再建築不可」の場合があり、買主が解体する契約にすると買い手が限られることもあります。墨田区・江戸川区の空き家の売り方全体は「墨田区の空き家売却ガイド|3,000万円控除・助成・相談窓口」「江戸川区の空き家売却ガイド|3,000万円控除・区の窓口・売り方比較」にまとめています。
売主が先に解体する場合は、区の解体助成も検討できます。墨田区には老朽危険家屋除却費等助成など主に7種類の除却助成があり、江戸川区の老朽住宅除却工事助成は上限50万円(一部の地域と空き家は100万円)です。墨田区の老朽危険家屋除却費等助成や江戸川区の老朽住宅除却工事助成は、いずれも区の決定前に契約・着工すると対象外になります。江戸川区の老朽住宅除却工事助成は、2026年度の申請期限が2026年12月25日です。また、1月1日時点で更地になっていると、その年度の土地の固定資産税・都市計画税は住宅用地の特例が外れ、23区ではおおむね3〜4倍になることがあります。解体の時期は、売却の時期と合わせて決めましょう。助成の内容は「墨田区の解体工事の費用と助成金|除却助成の比較と売却前の判断」「江戸川区の解体工事|助成金・費用相場と売却前の注意点」、更地にしたときの税額の計算例は「江戸川区の固定資産税の計算|戸建て・マンションの計算例と広い土地・更地」で解説しています。相続した家の売却全体の税金・手続きは「墨田区で相続した家・不動産の売却ガイド」「江戸川区で相続した家を売却する方法」もあわせてご覧ください。
墨田区・江戸川区で空き家特例の売却を相談するならセルフリジェネレーション|Googleクチコミ 本店★4.8・瑞江店★4.9
株式会社セルフリジェネレーション(東京都墨田区押上・江戸川区瑞江に店舗、宅地建物取引業 東京都知事(2)第105830号)は、相続した空き家の売却で、特例の要件確認から売買契約書への解体・耐震改修の特約、確認書の準備までを見すえて段取りをご提案しています。Googleクチコミの評価は本店★4.8・瑞江店★4.9(2026年10月時点)です。
口コミでは、親身な対応や進捗のこまめな報告に加えて、相続した家の売り方の選択肢を丁寧に説明している点を評価していただいています。空き家特例の申告は、引き渡しから確認書、確定申告までの期間が短く、相続人の方が複数いるほど連絡の行き違いが起きやすい手続きです。
「とても親身になって相談に乗っていただきました。」(Googleクチコミより一部抜粋)
「相続した家を売るにあたり、様々なケースのメリットデメリットを教えていただき」(Googleクチコミより一部抜粋)
- 墨田区・江戸川区に特化した地域密着:木密地域の旧耐震住宅や再建築不可の土地など、特例と売り方の両面から判断します。
- 業界経験10年以上のスタッフのみが在籍:売買契約書の特約や、確認書に必要な書類の準備をサポートします。
- 顧問弁護士・税理士・FPによる無料相談:特例が使えるか、取得費加算の特例とどちらが有利かも相談できます。
- 仲介も買取も対応:高く売りたいなら仲介、家財が残ったまま早く売りたいなら当社による直接買取をご提案します。
- LINE・オンライン相談が可能:遠方にお住まいの相続人の方も、現地に来ずにご相談いただけます。
空き家特例の確定申告・確認書に関するよくある質問
空き家特例で税金が0円になる場合も確定申告は必要ですか?
必要です。空き家特例は確定申告書に記載して初めて適用されるため、売った翌年の2月16日〜3月15日に、必要書類を添えて申告してください。
空き家特例の確定申告に必要な書類は何ですか?
譲渡所得の内訳書、登記事項証明書、区役所の被相続人居住用家屋等確認書、売買契約書の写しが基本です。家を残して売る場合は、耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写しも必要です。
被相続人居住用家屋等確認書はどこで取れますか?
売った家がある市区町村の担当窓口で取れます。墨田区は安全支援課(03-5608-6520)、江戸川区は建築指導課監察係(03-5662-6489)が窓口で、墨田区では申請から交付まで2〜3開庁日かかります。
江戸川区で被相続人居住用家屋等確認書を申請するには予約が必要ですか?
必要です。江戸川区は職員が少ないため、建築指導課監察係(区役所第三庁舎5番窓口)へ来庁前に予約するよう案内しています。本人以外が提出する場合は委任状も用意してください。
確定申告書の特例適用条文には何と書けばいいですか?
申告書第三表の特例適用条文欄に「措法35条3項」と書きます。あわせて、譲渡所得の内訳書の1〜4面と、空き家特例用の5面を添付します。
買主が解体する場合、確認書はいつ申請できますか?
買主の取壊しや耐震改修が終わった後に申請します。期限は売った翌年の2月15日までのため、確定申告の期限(3月15日)に間に合うよう、解体の完了時期を契約で早めに決めておきましょう。
兄弟で共有した空き家を売った場合、確定申告はどうしますか?
相続人それぞれが自分の持分の金額で内訳書を作り、別々に確定申告をします。相続人が2人までなら1人3,000万円、3人以上なら1人2,000万円が控除の上限です。
まとめ|空き家特例の申告は「確認書」と「措法35条3項」から
空き家特例の確定申告は、税額が0円でも必要です。売った翌年の2月16日〜3月15日に、申告書第三表へ「措法35条3項」と書き、譲渡所得の内訳書(1〜5面)、登記事項証明書、区役所の確認書、売買契約書の写しなどを添えて提出します。
特に、確認書は物件のある区役所への申請で数日かかり、買主が解体する場合は翌年2月15日の完了後にしか申請できません。墨田区は安全支援課へ事前に電話、江戸川区は建築指導課監察係へ事前予約が必要です。売り方を決める段階から申告までの日程を逆算しておくことが、特例を確実に使う近道です。現行の特例は2027年12月31日までの売却が対象で、2023年に相続した家の期限は2026年12月31日です。期限が近い方は、売り方の検討と書類集めを並行して進めましょう。「特例が使えるか分からない」「売買契約の特約をどう書けばいいか知りたい」という方は、無料査定や無料相談からお気軽にお問い合わせください。
参考:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」/国税庁「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受ける場合の『譲渡所得の内訳書』の書き方」/国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」/国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」/国土交通省「制度の詳細(確認事項及び提出書類)」/国土交通省「特例措置における特約等の例」/墨田区「被相続人居住用家屋等確認書の交付について」/江戸川区「江戸川区の空き家の取組み」/国税庁「東京都墨田区・江東区(税務署の管轄地域)」/国税庁「東京都江戸川区(税務署の管轄地域)」/国税庁「江戸川北税務署」/国税庁「令和8年10月1日からの税務署総合窓口の受付時間について」/e-Tax「イメージデータで提出可能な添付書類(所得税確定申告等)」
この記事の執筆・監修
株式会社セルフリジェネレーション(宅地建物取引業 東京都知事(2)第105830号/公益社団法人 東京都宅地建物取引業協会会員)。墨田区・江戸川区を中心に、業界経験10年以上のスタッフが不動産の売却・購入・買取をサポートしています。
最終更新日:2026年11月2日
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株式会社セルフリジェネレーションは、墨田区・江戸川区を中心に不動産の売却・購入・買取をサポートしている地域密着の不動産会社です。「まずは価格だけ知りたい」「売るか迷っている」という段階でも、お気軽にご相談ください。
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