賃貸経営で資産運用を考える場合、考えておかなければいけないのは税金対策です。
せっかくの賃貸経営を始めても、税金対策をしておかないと多額の税金で収益が少なくなってしまうこともあります。
このページでは、賃貸経営でかかる税金についてお伝え致します。

  1. 賃貸経営でかかる税金
  2. 賃貸経営で得た収入の課税範囲
  3. 家賃収入にかかる税金の計算方法
  4. 賃貸経営で課税を抑えるポイント

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賃貸経営でかかる税金

賃貸経営者に課せられる税金は、どんな種類があるのでしょうか。
賃貸経営をするのであれば、税金についての知識は必要です。賃貸経営をする際に課せられる税金の種類についてみていきましょう。
賃貸経営で課せられる税金は以下の通りです。

税金項目 目安
所得税 所得×税率-控除額
住民税 10%
個人事業税 (所得-290万円)×5%
消費税 10%(課税売上1,000万円以上)
固定資産税 課税標準×1.4%

所得税

賃貸経営で家賃収入を得たことで出た利益には、所得税がかかります。利益=所得ということになります。
所得税の課税方法には、総合課税と分離課税があります。総合課税では、不動産所得や給与所得など区分ごとに計算したものを合算しますが、分離課税はそれぞれ独立して税額を求めます。
そして、賃貸経営の所得は総合課税の不動産所得に分類されます。また、総合課税に分類される所得の税率は所得金額が増えるほど税率が高くなる累進課税制度となっています。

住民税

次にかかる税金は、住民税です。住民税も所得税と同じく所得に応じて税金が課せられます。
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う税金です。住民税は、意外と負担になりやすい金額なので見落とさずに考えておきましょう。
住民税は、所得割と均等割の2種類で出されます。所得割は、都道府県民税が4%、市町村税が6%のトータル10%となります。
均等割の算出は所得に関係なく一律となりますが、地域によって多少異なります。所得割の算出は、総所得から各種控除を引いたものにそれぞれの市県民税を掛けます。
控除の種類には、生命保険料控除・社会保険料控除・医療費控除・雑損控除・地震保険控除・人的控除・小規模企業共済等掛金控除があります。
参考:国税庁 所得税と個人住民税との関係について

個人事業税

家賃収入が一定以上の規模である場合は、個人事業税が課せられます。
物件が増えて家賃収入が増えていけば事業を行っているとみなされます。
そうなった場合は、所得税・住民税以外に課せられるのは個人事業税なのです。
賃貸経営は、10室以上の物件を持った場合が対象となります。
個人事業税は、所得金額から事業主控除等を引き税率をかけたものとなります。事業主控除とは、一律で年間290万円の控除のことです。
そもそも不動産所得が290万円以下であれば、個人事業税は発生しないことになります。税率は、不動産賃貸業の場合は5%となっています。

消費税

賃貸経営では、居住用の家賃には消費税はかかりません。
もちろん、礼金などにも消費税は発生しません。しかし、賃貸の中に貸事務所や貸し駐車場などがある場合は、課税対象となります。
居住者用の駐車場は非課税ですが、一般に貸している場合は消費税が掛かるので注意しておきましょう。
消費税は課税売上が1,000万円以上かかった場合に翌々年から課せられる税金となります。

固定資産税

賃貸だけではありませんが、土地を所有している場合に課税される固定資産税も税金のひとつです。
固定資産税は、所有している不動産の評価額に応じて計算されることになります。
固定資産税の計算方法は、課税標準(固定資産税評価額)×1.4%で算出されます。

課税標準(固定資産税評価額)とは、とは、総理大臣が定めた基準にもとづいて決められた評価や資産の状態をみて市町村によって定められるものとなっています。
平均的な数字は、売買価格の6~7割といわれています。固定資産税は申告する必要がなく、毎年市区町村から送付される納付書で支払います。

固定資産税には特例制度があり、ケースによっては支払いが免除になったり減額されることもあります。
ひとつは、1人あたりの課税標準が土地30万円家屋20万円未満の場合です。この場合は、固定資産税が免除されます。
そして、住宅用地の場合は条件によって固定資産税が減額されます。

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賃貸経営で得た収入の課税範囲

賃貸経営で得た家賃収入は、どこまでが課税対象となるのでしょうか。賃貸経営で得た収入の課税範囲について知っておきましょう。

家賃収入に含まれているもの

まず、賃貸経営において家賃収入に含まれているものを知っておくべきです。
家賃以外に含まれるものは、礼金・更新料・管理費・駐車場・権利金・返還の必要がない敷金や保証金などとなります。
返還が必要な場合は、収入とは認められません。

不動産収入を得る上で経費になるもの

家賃収入にかかる税金は、不動産所得によって決まります。
不動産所得とは、不動産経営によって得られた収入から必要経費を引いた金額のことです。
課税は必要経費が多ければ多いほど少なくなります。簡単にいえば、必要経費を計上することが節税対策となります。
必要経費には、以下のようなものがあります。

必要項目 概要
管理費 不動産会社に物件の管理を依頼している場合
広告宣伝費 入居者募集の広告費など
火災保険 建物にかけた火災保険
地震保険 建物にかけた地震保険
修繕費 修繕にかかった費用
減価償却費 耐用年数によって計算
士業への手数料 報酬費用
固定資産税・都市計画税 個人事業税
借入金利子 ローン支払いの利子
消耗品費 賃貸物件に必要な消耗品にかかった費用
水道光熱費 共有部分にかかる費用

これら以外にも、不動産経営に関わる交流などへの費用も経費として計上が可能なものもあります。
見極めが難しい場合は、領収書を取っておき、メモなどを残しておくとよいでしょう。そして、必要経費として認められないものも覚えておく必要があります。

必要経費に含まれないものは、住民税・所得税・事業に関連していない支出・借入金の元本返済です。間違った申告をすると、追加徴収されてしまうこともあるので気をつけましょう。

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家賃収入にかかる税金の計算方法

家賃収入にかかる税金を算出する計算方法を知っておきましょう。
家賃収入すべてに税金がかかるわけではなく、家賃収入と不動産所得は別となります。計算するときの目安にしてみてください。

不動産所得に対する所得税の計算方法

不動産所得とは先程説明した通り、収入から必要経費を引いたものとなります。
不動産所得は総合課税で給与所得など他の総合課税科目と合算した所得であり、その所得に対して税率を掛け合わせて税額を算出します。
なお、税率は綜合課税の額によって、額が大きい程税率も高くなる累進課税となっています。
具体的な例で出すと、給与所得が500万円で不動産所得が200万円の場合、給与所得500万円+不動産所得200万円=700万円が課税所得金額と算出されます。
所得税率は、国税庁の課税所得金額に対する早見表を参考してください。

課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超 330万円以下 10% 97,500円
330万円超 695万円以下 20% 427,500円
695万円超 900万円以下 23% 636,000円
900万円超 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円
参考:国税庁 所得税の税率

住民税の計算方法

住民税も所得税同様に、利益に対して課税されるものです。

住民税は所得税の総合課税で計算した所得と同じ方法で計算し、所得額に率(10%)を掛けて求めます。
先述と同様、給与所得500万円、不動産所得200万円の場合、500万円+200万円×10%=70万円という計算になります。

これに、地域によって異なりますが均等割という税金が加算されるので、それによって出た数字が住民税となるのです。

固定資産税の計算方法

固定資産税は市区町村の定める固定資産税評価額に標準税率1.4%を掛け合わせて税額を求めます。
固定資産税評価額は時価のおおよそ7割程度を目安に定めるものとされています。
例えば、1,000万円で取引されている不動産であれば固定資産税評価額は700万円程度ということになります。
なお、固定資産税評価額は3年に1回評価替えがなされますが、その額については、所有者に毎年送付される納付書で確認できる他、市区町村の窓口に行けば証明書を発行してもらうこともできます。

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賃貸経営で課税を抑えるポイント

賃貸経営で発生する税金をできるだけ抑えることで、節税対策となります。
節税対策を何も行わなければ、せっかくの不動産投資も利益として成り立たないまま、損失を持ってしまう可能性もあります。
賃貸経営をする際の節税対策について知っておきましょう。

必要経費の計上

家賃収入に対する税金は、収入金額ではなく必要経費を差し引いた所得に対してかかるものです。
家賃収入がいくら多くても、この必要経費を計上していなければ課税が高くなるということになります。
先程説明した必要経費をできるだけ多く計上することが大切です。
アパート経営に経費については減価償却の存在が大きいです。
減価償却とは、建物の年数に応じて劣化するものを数値として表したもので、法定耐用年数に応じて毎年劣化分を経費計上できるようになっています。
例えば、5,000万円かけて購入したアパートについて20年かけて減価償却するのであれば、20年目まで毎年250万円ずつ経費計上できるのです。
2年目以降は「実際に支払っていいないのに経費計上できる」ため、アパート経営の節税対策上非常に重要です。
なお、減価償却は建物部分のみ対象で、土地は減価償却されません。

青色申告での課税申告

サラリーマンの副業としてアパート経営をされる方もいらっしゃいますが、こうしたケースでは、給与所得以外で、アパート経営を含めた所得の合計が20万円以上になった場合に確定申告が必要となります。
なお、確定申告ではアパート経営による不動産所得と給与所得を合算して税率をかけますが、仮に不動産所得がマイナスの場合は給与所得のプラスと合算して還付を受けることもできます。このことを損益通算と呼びます。
確定申告には青色申告と白色申告があります。白色申告は簡易的な記帳で確定申告が可能な一方、青色申告にすると複式簿記による方法で申告する必要があります。
ただし、青色申告すると最大65万円の特別控除を受けられるなどさまざまなメリットを得られます。
※白色申告の記帳免除については撤廃されました。

メリット 概要
特別控除 青色申告の場合、最大65万円が必要経費に計上可能。白色申告はなし。
専従者給与 青色申告の場合、全額必要経費にできる。白色申告の場合、配偶者は86万円。それ以外は50万円まで必要経費に計上可能。
損失の繰り返し 青色申告の場合、損失を3年繰り越せる。前年に繰り戻して税金の還付を受けられる。白色申告はなし。
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