相続した不動産の売却基礎知識

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相続した不動産の売却基礎知識

相続した不動産を売却するには、遺言書、相続人、相続財産、遺産分割、相続登記、税金を順番に整理する必要があります。
名義変更や期限を後回しにすると、売却活動や契約条件の調整が止まりやすいため、早い段階で全体像を確認しておきましょう。

相続不動産を売却するまでの流れ

相続開始から名義変更まで

  1. 01遺言書の有無を確認

    遺言書がある場合は、内容と保管状況を確認します。

  2. 02相続人・財産・負債を確認

    協議に参加する人と、対象となる財産を整理します。

  3. 03放棄・限定承認を判断

    負債がある場合は、3か月以内の判断が重要です。

  4. 04遺産分割を決める

    不動産を誰が取得するか、売却代金をどう分けるかを決めます。

  5. 05相続登記で名義変更

    売却できる名義に整えます。2024年4月から相続登記は義務化されています。

名義変更後から売却完了まで

  1. 06価格査定・販売方針

    相続人間で判断しやすいよう、価格根拠と進め方を揃えます。

  2. 07媒介契約・売却活動

    販売開始後の価格調整や内見対応を進めます。

  3. 08買付・条件調整

    価格、引き渡し時期、残置物、境界などを確認します。

  4. 09売買契約・引き渡し

    契約、決済、鍵の引き渡しまで進めます。

  5. 10確定申告・税金確認

    譲渡所得、取得費、特例の適用可否を確認します。

名義変更から引き渡しまで、概ね6か月程度を見込んでおくと進めやすくなります。

相続人の人数、書類の揃い方、物件状態、買主様との条件調整により期間は変わります。

期限がある手続きを確認します

7日以内

死亡届

死亡を知った日から7日以内が目安です。

3か月以内

相続放棄・限定承認

期限を過ぎると選択肢が減るため、財産と負債を早めに確認します。

4か月以内

準確定申告

被相続人に申告が必要な所得がある場合に確認します。

10か月以内

相続税の申告・納付

遺産分割が未了でも、期限までに申告・納付が必要です。売却予定にも影響します。

3年以内

相続登記

不動産の取得を知った日から3年以内が目安です。売却前にも必要です。

特例ごと

売却時の税金特例

空き家特例や取得費加算などは、売却時期と要件を確認します。

※期限や必要書類は個別事情により変わります。税務・登記・法律判断が必要な場合は、税理士、司法書士、弁護士等へご確認ください。

相続人と相続財産を確認します

戸籍で相続人を確定する

協議に参加すべき相続人を漏れなく把握します。ここが曖昧だと登記や契約で手続きが止まります。

財産と負債を一覧化する

預貯金や不動産だけでなく、借金、住宅ローン、未払い金などの負債も含めて整理します。

財産分与の対象となる主な遺産

  • 不動産
  • 預金・貯金・現金
  • 株式などの有価証券
  • 生命保険
  • 金・宝石・美術品など
  • 借金・住宅ローンなどの負債

売却するか、誰かが取得するかを決める

不動産を誰が取得するのか、売却代金をどう分けるのかにより、登記名義や協議書の内容が変わります。

法定相続情報一覧図を活用する

相続関係を一覧化しておくと、登記や金融機関での手続きを進めやすくなります。

法定相続人の順位

必ず相続人になる 配偶者
第一順位

子・孫など

直系卑属。子が亡くなっている場合、孫が代襲相続人になることがあります。

第二順位

父母・祖父母など

直系尊属。第一順位の相続人がいない場合に相続人となります。

第三順位

兄弟姉妹など

兄弟姉妹が亡くなっている場合、甥・姪が代襲相続人になることがあります。

負債がある場合は、相続放棄と限定承認も検討します

相続放棄

相続人としての権利と義務を一切引き継がない手続きです。
借金や管理負担を引き継がない選択肢になりますが、不動産や預貯金などのプラスの財産も取得できません。

限定承認

相続によって得た財産の範囲内で負債を引き継ぐ方法です。
債務が不明な場合の選択肢になりますが、相続人全員で行う必要があります。

判断を誤りやすい例

ローン残債300万円のマンションがあっても、預貯金1,500万円がある場合、相続放棄をすると預貯金も相続できません。
不動産単体ではなく、財産と負債を合算して判断します。

相続放棄の詳細を見る

名義変更と不動産売却に必要な書類

名義変更で確認する書類

誰が不動産を取得するか、遺言書の有無、遺産分割協議の有無により必要書類が変わります。具体的な書類は下の「名義変更方法ごとの書類」で確認します。

販売活動で確認する書類

価格査定、販売資料の作成、買主様への説明に使う書類です。物件種別によって必要書類が変わるため、一覧で確認できるようにしています。

契約・引き渡しで使う書類

本人確認、権利関係、設備状況、管理関係を確認する書類です。決済直前に慌てないよう、売却開始時点で所在を確認しておきます。

金額がわかる資料

物件購入時の売買契約書、領収書、通帳、住宅ローン資料、リフォーム費用の領収書などは、売却後の税金計算や特例確認に関わるため、早めに探しておきましょう。

法定相続で名義変更する場合

  • 被相続人の10歳前後から死亡に至るまでの戸籍謄本等
  • 被相続人の除住民票
  • 相続人全員の戸籍謄本・住民票
  • 固定資産税評価証明書
  • 相続関係説明図

遺言書により名義変更する場合

  • 遺言書
  • 遺言者の死亡事項の記載がある除籍謄本
  • 遺言により相続する相続人の住民票
  • 固定資産税評価証明書
  • 受遺者の戸籍謄本・相続関係説明図

自筆証書遺言は保管状況により、家庭裁判所で検認が必要になる場合があります。

遺産分割協議で名義変更する場合

  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の署名・実印押印・印鑑証明書
  • 被相続人の戸籍謄本等・除住民票
  • 相続人全員の戸籍謄本・住民票
  • 固定資産税評価証明書・相続関係説明図

物件種別ごとの書類一覧

書類 マンション 一戸建て 土地
登記簿謄本または登記事項証明書必要必要必要
売買契約書必要必要必要
物件購入時の重要事項説明書必要必要必要
登記済権利証または登記識別情報必要必要必要
土地測量図・境界確認書-必要必要
固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書必要必要必要
物件の図面必要必要-
設備の仕様書必要必要-
建築確認済証・検査済証-必要-
建築設計図書・工事記録書あると望ましい-あると望ましい
管理規約・使用細則必要--
マンション維持費関連書類必要--
耐震診断報告書あると望ましいあると望ましい-
アスベスト使用調査報告書あると望ましいあると望ましい-
本人確認書類・実印・印鑑証明書必要必要必要
住民票・銀行口座情報・ローン残高資料必要に応じて必要に応じて必要に応じて
相続登記の必要書類を見る

相続した不動産の4つの分割方法

01

現物分割

現金、車、不動産などの財産を、
現物のまま相続人ごとに分ける方法です。

メリット
不動産を単独所有しやすい
注意点
法定相続割合どおりに公平に分けにくい
02

換価分割

不動産を売却して現金化し、
売却代金を相続人で分ける方法です。

メリット
法定相続分に沿って分けやすい
注意点
売却活動と価格合意に時間がかかる
03

代償分割

特定の相続人が不動産を取得し、
他の相続人へ代償金を支払う方法です。

メリット
住み続けたい人が不動産を引き継げる
注意点
代償金を支払う相続人の資金負担が重い
04

共有分割

複数の相続人で共有名義にし、
持分を持ち合う方法です。

メリット
法定相続分で形式上は分けやすい
注意点
二次相続以降で共有者が増え、将来売却しにくくなる

不動産の名義変更には3つの進め方があります

01

法定相続による名義変更

法定相続分に従って共有名義のまま登記する方法です。売却代金を公平に分けたい場合に使われることがありますが、売却時は共有者全員の同意が必要です。

  • 共有のまま売却する場合は、契約時に共有者全員の協力が必要
  • 相続人が遠方にいる場合は、日程調整が難しくなりやすい
02

遺言による名義変更

遺言書がある場合は、原則として遺言内容に従って登記します。遺言と異なる分け方を希望する場合は、相続人間での確認が必要です。

  • 遺言書の種類や保管状況により、確認手続きが変わる
  • 内容に争いがある場合は、売却前に権利関係を整理する
03

遺産分割協議による名義変更

相続人全員の合意により、不動産を取得する人や売却方針を決める方法です。売却して現金で分ける場合も、協議内容を明確にしておきます。

  • 遺産分割協議書に売却方法や代金分配を明記する
  • 換価分割や代償分割では、税務面の確認も重要
売却前提なら、登記名義と分配方法を同時に決めます。

共有名義のまま売るのか、代表者が単独名義で売るのかにより、契約手続き、税務上の見え方、相続人間の合意書面が変わります。

相続した不動産を売却する際の注意点

相続不動産に慣れた会社へ相談する

相続登記、共有名義、空き家管理、税金特例の期限を同時に確認します。

共有名義の売却は全員の同意が必要

売却の同意だけでなく、価格の同意も必要です。最低売却価格を先に揃えておくと判断がぶれにくくなります。

単独登記での分配は税務面に注意

売却後の代金分配が贈与と見なされないよう、協議書に取得者、売却方法、分配方法を明記します。

住む・住まないで使える特例が変わる

居住状況、空き家の状態、解体や耐震基準により、使える特例が変わります。

売却期限は3年以内を目安に考える

特例には期限が関係します。名義変更から引き渡しまでの期間も含めて逆算します。

取得費は被相続人の購入額を引き継ぐ

譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて確認します。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

所有期間も被相続人の購入日を引き継ぐ

5年超なら長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得です。相続では取得時期を引き継ぎます。

税金 = 譲渡所得 × 税率

取得費が不明なら代替資料を探す

概算取得費は譲渡価額の5%となり、税金が高くなる場合があります。契約書、通帳、ローン資料などを確認します。

相続不動産は、名義・税金・販売方針を同時に整理すると、
売却後の手取りと手続きの見通しを立てやすくなります。

相続不動産の税金を見る

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