【空き家売却をスムーズに進める！】方法・費用・注意点を詳しく紹介

この記事の監修者

三好 海斗（みよし かいと）

株式会社セルフリジェネレーション　代表
宅地建物取引士
不動産賃貸経営管理士
既存住宅アドバイザー
1988年生まれの福島県出身。不動産業歴は14年。不動産賃貸・売買仲介をはじめ、投資用不動産、中古不動産仕入れ再販、中古不動産×リノベーションなど様々な不動産企業で経験を積み、自身でも自宅、投資用不動産等で5回不動産購入・売却を経験。2020年にセルフリジェネレーションを設立。2021年にメディア取材や自社サービスや取組みが各メディア（55社の媒体）へ掲載される。

空き家を売却したくてもメリットや方法がわからず、一歩踏み出せない方は少なくありません。本記事では、空き家売却のメリットや売却方法、注意点などを解説します。記事を読めば、空き家に関する悩みが解決し、最適な売却戦略を立てられます。空き家売却を成功させるためには、適切な価格設定と売却のタイミングが重要です。

不動産会社を上手に活用すれば、スムーズな売却につながります。

空き家売却のメリット

空き家を売却するメリットは、以下のとおりです。

売却により所有者の負担は軽減され、さまざまな問題を解決できます。

維持費を削減できる

維持費の削減は、空き家売却の大きなメリットです。以下の費用を大幅に削減できます。

空き家を所有し続ける限り維持費は発生しますが、売却すれば支払う必要がありません。空き家を長期間放置し、建物の劣化が進んだ場合の高額な修繕費用も不要です。将来的な大規模修繕や設備更新の費用も回避できます。空き家管理サービスにかかる費用も不要です。相続税対策として活用していた場合も、負担がなくなります。

近隣トラブルを回避できる

空き家を売却すれば地域の景観や治安の悪化を防止でき、近隣住民との良好な関係維持につながります。空き家を管理せずに放置すると草木の繁茂や害虫の発生などの問題が生じるため、注意が必要です。不法侵入や犯罪、建物の老朽化にも注意しましょう。適切に管理をしないと、自治体から指導や勧告を受ける場合もあります。
» 政府広報オンライン(外部サイト)

市場価値が下がる前に売却できる

不動産の価値は時間とともに低下するため、早期売却が有利です。早めに売却すれば、資産価値の目減りを最小限に抑えられます。空き家を放置すると、老朽化の加速や周辺環境の変化により価値が下がります。タイミングを逃すと買い手が見つかりにくいため、市場動向を見極めて適切な時期に売却しましょう。
» 不動産売却のノウハウを知って不動産売却を成功させよう

空き家売却の方法

空き家を売却する方法は、以下のとおりです。

物件の状態や立地、売却目的に応じて最適な方法を選びましょう。

そのまま売却する

そのまま売却する方法は、空き家を処分する最もシンプルな方法です。リフォームや解体の費用がかからないため、初期投資や追加の出費を抑えられます。すぐに市場に出し、早期に資金化できる点が魅力です。購入者が見つかりにくい点に注意しましょう。

解体して更地として売却する

解体して更地として売却する方法は、建物の老朽化が進んでいる場合に有効な方法です。古い建物を取り壊し、更地にしてから売却すると、土地の価値を最大化できます。更地は買主の選択肢が広がるため、建物付きの物件よりも早く売れる傾向があります。解体の際は、以下の点に注意してください。

自治体によっては解体費用の補助金制度を利用できるため、制度を活用してコストを抑えましょう。解体費用は、売却価格に反映できます。

リフォーム後に売却する

リフォーム後に売却すると物件の魅力が向上し、高値での売却が期待できます。以下のリフォームが効果的です。

改修すると物件の印象が改善され、付加価値が高まります。新築に近い状態で販売できるため、買主の関心が集まりやすくなります。過剰な投資は利益を圧迫するため、注意が必要です。リフォーム費用と売却価格のバランスを取りましょう。地域や物件の特性、買主のターゲット層を考慮すると、効果的なリフォームが可能です。

不動産会社へ買取を依頼する

不動産取引には複雑な法的手続きが伴うため、素人には難しい部分も多くあります。専門知識を持つ不動産会社に任せれば、売却に関する手続きの負担軽減が可能です。買取保証付きの査定を受けると、物件の状態や立地に関わらず売却できます。迅速な売却が可能なため、長期間の維持管理費用を抑えられる点も魅力です。

一括査定サービスを利用すると、複数の不動産会社から同時に査定を受けられます。

空き家バンクを活用する

空き家バンクは、自治体が運営する空き家・空き地の情報バンクです。売却希望者と購入希望者のマッチングを支援し、地域活性化や移住促進を目的としています。地元不動産業者と連携しており、地域の特性や需要に合わせた物件紹介を受けられるため、効率的に空き家を売却できます。

不安な点は自治体の担当窓口で相談しましょう。

空き家売却の流れ

空き家売却の流れは、以下の6つのステップで構成されています。

手順に沿って進めると、スムーズな売却が可能です。
» suumo(外部サイト)

価格査定の依頼

適切な価格設定は、スムーズな売却に欠かせません。複数の不動産会社に価格査定を依頼すれば、より正確な市場価値を把握できます。オンライン査定は手軽さを求める方におすすめです。現地査定も組み合わせると、より詳細な評価が得られます。査定依頼時は、物件の特徴や状態を正確に伝えるのがポイントです。

周辺相場や取引事例を調査し、査定価格の根拠を確認しましょう。

媒介契約の締結

不動産会社と売主が正式に契約を交わすと、売却活動が本格的に始まります。媒介契約は専任媒介契約・一般媒介契約・専属専任媒介契約の3種類です。一般媒介契約の場合、複数の不動産会社と契約できます。それぞれ特徴が異なるため、自分の状況に合わせて選びましょう。
» suumo(外部サイト)

契約時に不動産会社から重要事項の説明を受け、内容を十分確認してください。契約更新や解除の条件を確認しておくと安心です。

売却活動の開始

売却活動では、物件の魅力を最大限にアピールし、潜在的な買主に広く情報を届ける必要があります。活動方法の例は、以下のとおりです。

さまざまな方法でアピールすると、多くの人に物件の存在が伝わり、関心が集まります。売却活動中は、買主からの問い合わせや質問に迅速かつ丁寧に対応しましょう。定期的に売却状況を確認し、必要に応じて価格や販売戦略を見直してください。物件の魅力を高めるための簡単な修繕や清掃も効果的です。

近隣の類似物件の売却状況をチェックし、競合物件との差別化を図りましょう。

売買契約の締結

売買契約締結の流れは以下のとおりです。

買主と売主が合意した条件で契約書を作成し、双方で内容を確認しましょう。契約内容の十分な理解が大切です。不明点があれば、専門家に相談してください。重要事項説明書をもらい、説明を受けましょう。手付金は一般的に売買価格の5～10%程度です。契約書の交換後は、残金決済と所有権移転の日程を決定してください。
» suumo(外部サイト)

物件の引き渡し

引き渡しの前に物件内の残置物を撤去し、清掃しましょう。きれいな状態で引き渡せば、気持ちよく物件を使用できます。引き渡しの際は、以下の手続きをしてください。

トラブルを防ぐため、引き渡しは売主と買主で立ち会い、物件の状態を確認しましょう。引き渡し後の不具合や問題への対応方法を確認しておくと安心です。
» suumo(外部サイト)

確定申告

空き家を売却した後は、確定申告が必要です。売却した翌年の2月16日～3月15日の間に申告してください。譲渡所得を計算し、確定申告書を作成しましょう。売買契約書や登記簿謄本、譲渡費用の領収書を準備してください。e-Taxを利用すると、オンラインで申告できるため便利です。

申告後、追加で納税や還付が発生する場合もあるため、注意が必要です。

空き家売却の費用と税金

空き家売却にはさまざまな費用と税金がかかります。かかる費用を事前に把握し、適切な資金計画を立てましょう。

売却にかかる費用

空き家の売却にかかる主な費用は、以下のとおりです。

不動産会社を介さずに自分で売却する場合は、不動産広告費も必要です。家財道具がある場合は、引越し費用も考慮しましょう。契約中の場合、火災保険の解約返戻金なども発生します。費用は物件の状況や売却方法によって異なるため、専門家に相談して正確な見積もりを取るのがおすすめです。
» athome(外部サイト)

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は、譲渡所得に対して課税される税金です。譲渡所得は「譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用」の式で計算されます。取得費が不明な場合は、売却価格の5%とみなされます。所得税と住民税の税率は、以下のとおりです。

長期譲渡所得は所有期間が5年を超えたもの、短期譲渡所得は5年以内のものを指します。特別控除額がある場合は、譲渡所得から控除できます。相続した空き家の場合、3,000万円の特別控除の適用が可能です。所有期間が10年を超える場合、軽減税率が適用されます。
» 国税庁(外部サイト)

その他の税金

空き家の売却には以下の税金が関係しています。

事業として不動産を扱っている場合は、事業税の支払いが必要です。相続した空き家を売却する場合は相続税、贈与された空き家の場合は贈与税が発生します。売却の状況や物件の特性等によって発生する税金が異なるため、専門家に相談するのがおすすめです。

税理士や不動産の専門家に相談すれば、自分の状況に合わせた適切なアドバイスを受けられます。

空き家売却時に活用できる補助金や特例

空き家売却時には、さまざまな補助金や特例制度を活用できます。制度を上手に活用し、売却時の経済的負担を軽減しましょう。

空き家解体の補助金

空き家解体の補助金は、自治体が空き家対策の一環として提供している支援制度です。空き家の解体費用の一部(数十万円程度)を補助してもらえます。申請には居住実態がないことの証明や、解体後の土地利用計画の提出が必要です。申請時期や受付期間を事前に確認しましょう。

自治体によって制度の詳細や金額は異なるため、自治体の担当窓口で十分確認してください。

相続した空き家に対する特別控除

特別控除は、相続した空き家を売却する際に最大3,000万円の控除が受けられる制度です。特別控除を受けるためには、以下の条件があります。

条件を満たすと、譲渡所得から最大3,000万円が控除され、税負担が軽くなります。確定申告時に必要書類の提出が必要です。更地にして売却した場合も適用できます。特別控除は令和9年12月31日までの期間限定の制度です。一度しか適用できないため、注意してください。
» 国税庁(外部サイト)

適用期限や条件をよく確認し、専門家に相談して進めましょう。

※ 3年以内とは正確には、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日を指します。

10年超所有軽減税率の特例

10年超所有軽減税率の特例は、空き家売却時の税負担を軽減する制度です。空き家売却を検討している方は、積極的に活用しましょう。特例を利用すると、約20%の税率が14.21%に軽減されます。所有期間が10年を超えており、親子や夫婦などの「特別の関係がある人」以外への売却が条件です。

空き家売却を成功させるためのポイント

空き家売却を成功させるためのポイントは、以下のとおりです。

ポイントを踏まえて進めると、より良い条件での取引につながります。

適切な売却価格を設定する

適切な売却価格の設定は、空き家売却を成功させる重要なポイントです。市場価値を適切に把握し、物件の特徴や立地条件を考慮して価格を決定しましょう。近隣の類似物件の価格を調査するのも効果的です。売却の緊急性を考慮し、価格を調整してください。価格設定の際は、買主の視点で価値を考える必要があります。

売却期間を考慮して計画を立てる

空き家売却を成功させるためには、売却期間を考慮した計画立案が重要です。一般的な空き家の売却期間は3〜6か月程度ですが、物件の状態や立地によって大きく異なります。余裕を持ってスケジュールを立てましょう。季節や地域の取引状況に合わせた調整が必要です。早期売却を希望する場合は価格設定を工夫しましょう。

物件の魅力を高める

魅力的な物件は買主の目を引くため、より高値での売却が可能です。物件の魅力を高める方法は、以下のとおりです。

室内を換気し、カビや臭いを除去すると、物件の第一印象が大きく改善されます。清潔ですっきりした印象を目指しましょう。物件自体の魅力のほか、周辺環境の良さをアピールできる資料があると効果的です。物件の特徴や魅力を資料にまとめると、空き家の価値を最大限に引き出せます。

空き家売却時の注意点

空き家売却時の注意点は、以下のとおりです。

注意点を意識して進めると、スムーズな売却を実現できます。

必要に応じて名義変更する

登記簿上の名義と実際の所有者が異なる場合、名義変更が必要です。相続の場合は、相続登記をしてください。共有名義の場合は、共有者全員の同意を得る必要があります。手続きには費用と時間がかかるため、早めの対応が重要です。名義変更の手続きは複雑なため、司法書士などの専門家に相談して進めましょう。

専門家のサポートを受ければ、スムーズに手続きを進められます。

空き家の状態をしっかり確認する

空き家の状態をよく確認すると、物件の価値を正確に把握できます。以下の点を確認しましょう。

現状を把握し、適切な価格設定や必要な修繕に取り組みましょう。素人目では見落としがちな問題もあるため、専門家に依頼するのがおすすめです。近隣の環境も物件の魅力に大きく影響するため、よく確認しましょう。さまざまな要素が買主の安全や快適性に直結し、売却の成否を左右します。

売却のタイミングを見極める

空き家売却のタイミングを見極める際は、さまざまな要因を考慮する必要があります。不動産市場の動向の把握は欠かせません。地域の開発計画や将来性も考慮に入れましょう。物件の状態も重要な要素です。老朽化の程度や修繕・リフォームの必要性を評価し、売却価値への影響を判断してください。経済的な観点も重要です。

専門家のアドバイスを受けると、より適切な判断ができます。さまざまな要素を総合的に判断し、最適なタイミングで売却しましょう。

空き家売却における不動産会社の活用方法

不動産会社の活用は、効果的な取引のために重要な手段です。プロのサポートにより、適切な価格設定や売却活動が可能になります。

信頼できる不動産会社の選び方

信頼できる不動産会社を見つけるためには、以下のポイントに注目しましょう。

信頼できる不動産会社だとスムーズに取引が進み、満足のいく結果を得られます。1社だけでなく複数の不動産会社と面談して比較しましょう。各社の特徴や提案内容を比較すれば、自分のニーズに合った最適な不動産会社を選べます。不動産会社の選択は、空き家売却の成功に大きく影響するため、慎重に選択してください。

相見積もりの重要性

複数の不動産会社から見積もりを取ると、多くのメリットを得られます。各社の査定額を比較すれば、市場価値の範囲や適正価格を把握できます。サービス内容や手数料の違いを確認し、地域に精通した会社を選びましょう。複数の会社と交渉すれば、より良い条件や提案を引き出せます。

不動産会社とのコミュニケーションのコツ

不動産会社との適切なコミュニケーションは、より良い取引につながります。売却の目的や希望条件は明確に伝えましょう。自分の状況や要望が具体的に伝わると、最適な提案を受けられます。定期的に状況を確認し、必要に応じて戦略を見直してください。提案された売却方法のメリットとデメリットをよく確認しましょう。

専門用語がわからない場合は、遠慮なく説明を求めてください。理解を深めると、より良い判断が可能です。引き渡し後の対応や保証内容を把握しておくと、安心して取引を進められます。情報の行き違いを防ぐため、複数の担当者がいる場合は、窓口を一本化しましょう。

空き家売却に関するよくある質問

空き家売却に関する疑問や不安を解消するため、よくある質問と回答をまとめました。売却が進まない場合の対策法や売却額を上げるための工夫、適切な売却タイミングを知りたい方は、参考にしてください。

売却が進まないときはどうすればいい？

売却が進まない場合、価格の見直しを検討しましょう。適切な価格設定は、物件の売却を促進します。リフォームや修繕で物件の魅力を高めるのも効果的です。複数の不動産会社に相談し、新たな販売戦略を立てましょう。広告や宣伝方法を変更し、より多くの潜在的な買主にアプローチすると、売却の機会を増やせます。

複数の方法を組み合わせれば、売却の可能性が高まります。状況に応じて最適な方法を選択し、粘り強く取り組みましょう。

売却額を上げるために自分でできることは？

売却額を上げるためには、物件の価値を高めるための手入れが重要です。具体的には以下の方法があります。

手入れをすると、物件の印象が大きく変わります。費用対効果を考えて取り組むのがポイントです。物件の魅力をアピールする工夫も効果的です。物件の特徴や魅力を整理し、アピールポイントを明確にしましょう。良質な写真や動画を用意し、物件情報を詳細に記載すると、買主の関心を集めやすくなります。

空き家売却の最適なタイミングはいつ？

空き家売却のタイミングは、物件の状態や市場の動向、個人の事情など、さまざまな要因を考慮して決める必要があります。物件の状態が良好なうちに売却するのがおすすめです。空き家は時間が経つにつれて劣化が進むため、できるだけ早めに売却を検討しましょう。不動産市場が活発な時期を狙うのもポイントです。

タイミングの見極めが空き家売却の成功につながります。

まとめ

空き家の売却には、維持費の削減や近隣トラブルの回避、資産価値の保全など多くのメリットがあります。適切な方法で手続きを進めると、スムーズな売却が可能です。価格査定や媒介契約、売買契約の締結など、一連の流れを理解して進める必要があります。かかる費用や税金を事前に把握しておくと安心です。