「相続が発生してしまったけど、ばたばたしていて手続きができない」
このようにお悩みの方はいらっしゃいませんか。
相続の期限が過ぎたらどうなるのか不安になりますよね。
今回は、相続発生後、手続きの期限があるものについてご紹介します。
□相続発生後に遺言書がある場合は開封前に裁判所に持ち込む必要アリ!
相続の手続きをする場合、最初に遺言書があるかを確認しましょう。
遺言書があるかないかでその後の相続手続きの内容や必要な書類が異なるからです。
そこで、もし、自宅や貸金庫などに遺言書が保管されていた場合、その場で開封してはいけません。
なぜなら、開封してしまうと遺言書の偽造や変造が疑われてしまうからです。
もしこれらの遺言書があった場合、亡くなった人の住所地の家庭裁判所で検認という手続きが必要です。
検認とは、その時点で遺言書の内容を明確にし、遺言書の偽造や変造をしないようにするための手続きのことをいいます。
検認は、遺言書の内容が法的に有効であるかの判断はされないので注意しましょう。
検認の手続きをするためには、遺言書以外にも亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本が必要なので用意しておきましょう。
検認終了後、家庭裁判所が検認調書を作成します。
遺言の内容通りに遺産を処分するためには、検認済証明書が必要なので家庭裁判所で申請しましょう。
検認をしていない遺言書を開封したり、検認されていない遺言に沿って遺産を処分したりした場合には、5万円以下の過料を支払う必要があるので気をつけましょう。
□相続放棄や限定承認の期限は3ヶ月!相続の期限が過ぎたら?
遺産相続の手続きは期限付きのものがいくつかあります。
それを知らないまま放置してしまうと、罰則が発生する場合があるのでできるだけ早めに対処する必要があります。
ここでは、相続手続きで期限がある相続放棄と限定承認について解説します。
相続放棄は、相続人の地位を手放し、資産も負債も一切継承しないことを言います。
相続放棄すると、不動産や預貯金などの資産を一切相続しません。
一方、限定承認は相続財産の中で負債を相続することを指します。
限定承認をした場合、資産から負債を差し引いたときに残りがあれば相続します。
しかし、マイナスになった場合は相続しません。
相続放棄するなら家庭裁判所で相続放棄の申述し、限定承認をするためには家庭裁判所で限定承認の申述を期限が切れるまでにする必要があります。
では、相続放棄と限定承認をするべきケースはどのような場合なのでしょうか。
相続放棄は、明らかに債務超過であるときやある特定の相続人に遺産を集中させたいときです。
限定承認は、債務超過か資産超過かはっきりしていないものの、資産超過なら相続したいという場合です。
ご自身の状況によって、判断しましょう。
また、相続放棄と限定承認の期間は相続があったと認知してから3ヶ月間です。
この3ヶ月間のことを「熟慮期間」と言います。
遺産がないと思っていて、そのことに正当な理由がある場合は、相続開始を知ってから3ヶ月が過ぎた後でも相続放棄や限定承認が認められる場合があります。
□3年以内が期限の手続きについて
先ほどは、3ヶ月以内の相続の手続きについてご紹介しましたが、3年以内が手続きのものがあり、相続税の軽減ができる特例があります。
1つ目は、配偶者の相続税軽減です。
例えば、配偶者が相続した遺産のうち、1億6000万円、または法定相続分までの金額は相続税の納付が免除されるという特例があります。
この特例が適応されるためには、相続税の申告期限である10ヶ月までに相続分割を確定している必要があります。
しかし、確定していない場合でも3年以内に遺産分割が終われば、あとから適応を受けられます。
この場合、相続税の申告期限10ヶ月の時点で相続税申告書を提出し、3年以内の遺産分割を完了させます。
完了後、再度「分割してこの分を相続しました」と伝えれば納税分の返還をしてもらえる可能性があります。
2つ目は、小規模住宅地の課税価格の特例です。
これは、被相続人が事業または居住用として使用していた宅地のうち、240平方メートルまでは最大80パーセント減税をしてくれるという特例です。
ただし、これは事業の継続や住み続ける場合といった条件を満たしている必要があります。
3つ目は、農地等の相続税猶予です。
相続した遺産の中に農地があった場合、相続人が農業経営を引き継ぐなら納付するべき相続税が減税されます。
このように相続税を減税できる特例があるので、利用できる特例があれば積極的に適用することをおすすめします。
□まとめ
今回は、相続発生後、手続きの期限があるものについてご紹介しました。
今回ご紹介したもの以外にも期限付きのものがあるので、できるだけ早く対処しましょう。
手続きをしないまま放置していると、借金があった場合、取り返しのつかないことにもなりかねません。
分からないことがある場合は、早めに専門家に相談しましょう。