マンションを売るタイミングはどうやって決める?さまざまな観点を紹介!

この記事の監修者

三好 海斗(みよし かいと)

株式会社セルフリジェネレーション 代表
宅地建物取引士
不動産賃貸経営管理士
既存住宅アドバイザー
1988年生まれの福島県出身。不動産業歴は14年。不動産賃貸・売買仲介をはじめ、投資用不動産、中古不動産仕入れ再販、中古不動産×リノベーションなど様々な不動産企業で経験を積み、自身でも自宅、投資用不動産等で5回不動産購入・売却を経験。2020年にセルフリジェネレーションを設立。2021年にメディア取材や自社サービスや取組みが各メディア(55社の媒体)へ掲載される。

住み替えをするために、長年住んでいたマンションを手放してマンションを売却しようと検討している方は多いでしょう。
せっかくマンションを売却するなら、できるだけ高く売りたいと思われる方がほとんどではないでしょうか。
高く売却するのに最も重要なのは、タイミングです。
しかし、売却のタイミングを考えるには、さまざまな条件を考慮する必要があります。
そこで、今回はマンションを売るタイミングや売るのを避けるべき時期などを解説します。

□2023年はマンションの売り時!?

実は2023年はマンションの売り時と言われています。
なぜ、2023年が売り時なのでしょうか。
その理由を見ていきましょう。

*中古マンションの売却相場が上昇傾向にあるから

中古マンションの価格は上昇しており、新型コロナウイルス流行前と比較してもさらに高価な値段で取引が行われています。
中古マンションの価格が高くなっている理由としては、新築マンションが高騰しているからです。
世界的に広がっているインフレが原因で建築資材も高くなり、新築マンションを建てるのに費用がかかっています。
新築マンションの高騰の影響で中古マンションも同様に値上がりしているのです。

*住宅ローン金利がバブル以降、最低水準になっているから

2023年5月時点では、住宅ローン金利が低い水準がキープされています。
住宅ローンの金利が低くなることで、金利が安くなった分、購入代金に充てることができ、高価格でマンションを売りやすくなります。

しかし、今後住宅ローンは上昇する可能性があります。
金利が値上がりするとマンションを購入する方は、予算を下げるでしょう。
そうすると、新築・中古マンションどちらも相場が下がっていきます。

□マンションを売るタイミングを考える上で意識するべきこと

2023年はマンションの売り時であるとお伝えしましたが、必ずしもすべての方が当てはまるとは限りません。
それぞれの物件で良いタイミングが異なります。
ここでは、売るタイミングを考える上で意識することを紹介します。

1.築年数

不動産の売却額は、築年数が大きく影響します。
マンションの築年数も売るタイミングを決める要素の1つです。
築年数が浅ければ浅いほど価格が高くなります。
築年数30年までは相場が下がる傾向にあり、それ以降は横ばい、または上振れです。

築10年以上になると、物件の価格が急激に下落します。
設備に不具合が発生し、修繕が必要になりますし、マンション自体も修繕工事を検討し始める時期でもあります。
できるだけ高く売りたい方は、築年数が浅いうちに売却することをおすすめします。

2.住宅ローン

住宅ローンが低金利の間はマンションの売り時です。
先ほども少しお伝えしたように、低金利であれば不動産を購入しやすく、マンションを購入したいと考える人が増え、相場も上がるので高く売りやすくなります。

しかし、住み替えを考えていて、転職前後の方はマンションを売却するのはおすすめできません。
なぜなら、新居を購入する際に住宅ローンの審査が通らない可能性があるからです。

住宅ローンを契約するためには、事前審査と本審査の2回の審査があります。
審査中に勤務先が変わった場合、審査をもう一度行うことになります。
その審査で通らなかった場合、契約解除に係る違約金が発生する可能性があります。

転職直後は勤続年数が短いので住宅ローンの審査が通らないケースもあるので、転職直後に住宅ローンを契約したい方は、希望する金融機関の審査項目に「勤続年数」が含まれているかをチェックしておきましょう。

3.税金

売却するには、税金がかかります。
ここでは、マンションの売却を行う際にかかる譲渡所得税について見ていきます。

譲渡所得税とは、不動産を売却して発生する譲渡所得にかかる税金です。
この譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間で変わるのです。

短期譲渡所得(5年以下)の場合は39.63%、長期譲渡所得(5年以上)の場合は20.315%になります。
そのため、マンションの売却でかかる税金を少なくしたい方は所有期間が5年以上かどうかで売るタイミングを検討しましょう。

4.環境

マンションが大規模修繕をした後は売り時です。
大規模修繕とは、マンションに住んでいる方の共用部分である外壁、エントランスなどの修繕をすることです。
住人が毎月支払っている修繕積立金で行われることが多いです。

大規模修繕を行ったあとは、新しい印象を与えられるだけでなく、外壁のひび割れも修繕されるため安心感があります。
ひび割れがあるマンションは少し不安になってしまいますが、きちんと修繕されていると不安を払拭できますよね。
共用部分の修繕は自分だけではできないので、大規模修繕後は売却のチャンスでしょう。

また、マンション周辺の環境の変化も重要です。
例えば、周辺に大型商業施設ができるという情報があれば、売るタイミングと言えます。
住み替えを考えている方は、近くに商業施設やスーパーなど買い物するのに便利な場所に住みたいと考えています。
そのため、マンションの近くにショッピングセンターができれば、より一層マンションをアピールすることができるでしょう。

また、商業施設だけでなく、公共交通機関や病院なども重要です。

□マンションを売却するのを避けるべき時期とは?

マンションを売るタイミングについて紹介しましたが、売却を避けるべき時期も存在します。
ここでは、その時期と理由を紹介します。

*マンションが売れにくいのは12月と8月

マンションの成約件数は、12月と8月に減少する傾向があります。
12月は、1年が終わる月でもあり、仕事も忙しくなります。
また、年末年始の帰省で首都圏を離れる方が多く、購入希望者の集客が思うようにいきません。

また、8月もお盆があり、実家に帰省する方が多いため、集客できません。
さらに夏の暑い時期であるため、外出しようという気になる方は少ないです。
空室のマンションはクーラーがなく、内覧に来てもらっても良い印象を与えることができません。

マンションは、売り出し直後が最も問い合わせが多くなるため、12月や8月に売却しようとお考えの方は、もう一度売るタイミングを検討することをおすすめします。

*同じマンションから売り出しがある場合

同じマンションから同じタイミングで売り出しするのは、できるだけ避けましょう。
同じマンションから売り出し物件がある場合、自室を売り出すと差別化を図るために値下げ合戦になる可能性が高くなるからです。

例えば、同じマンションで5階の部屋を売り出しているときに3階の部屋を売ろうと考えているとします。
同じマンションなので、築年数や駅までのアクセスは変わりません。
しかし、購入希望者の注目を集めるために3階の部屋の売主は5階の部屋よりも価格を下げてマンションを売却する可能性があります。

できるだけ高く売却するために、同じマンションから売り出しのあるタイミングで売却するのは避けましょう。

□マンションを売るタイミングを決めるときの注意点

マンションを売却する時期についてさまざまなことを紹介してきました。
さらに、タイミングを考える上での注意点があります。

それは、売却には半年かかることです。
マンションを売り出したからと言って、必ずしもすぐに買い手が見つかるわけではありません。
売買契約が成立するには、3ヶ月~4ヶ月かかります。
売却の準備も合わせると引き渡しまでには半年の期間が必要です。
しっかりとタイミングを見極めて売却したいとお考えの方は、半年前には不動産会社に相談するようにしましょう。
早めに始めれば始めるほど、適切な時期に売却することができるでしょう。

□売るタイミングを逃してしまった古いマンションを売るには

もし、売るタイミングを逃してしまった場合、どのように売却すれば良いのでしょうか。

*PRできるところを見つける

築年数が古くても、立地が良かったり、生活環境が良かったりと長所もあります。
まずは、ご自身がこれまで住んできた中でどのような魅力があったのかを挙げてみましょう。
その魅力が、不動産会社に相談する際や内覧時のアピールポイントとなります。
マンションの長所は建物自体のみにあるわけではありません。
建物の条件が良くなかったとしても、周辺環境が良ければ売却できます。

*売却するターゲットを立地に興味のある人に限定する

築年数の古いマンションは、現在のままで魅力的に感じてくれる方はあまりいません。
しかし、立地に興味を持っている方であれば、築年数が古くても購入してもらえる可能性があります。

また、リフォームを前提として購入しようとしている方であれば、現状の劣化はそれほど気にしないでしょう。
さらに、ブランド力がある人気エリアは、「この街に住みたい」という意欲のある方に売れる可能性もあります。

*売るタイミングを逃したマンションは買取に出す

タイミングを逃したマンションを仲介売却に出したとしても、2年や3年売れ残ってしまう可能性があります。

一方、業者買取は条件が悪いマンションであっても買取してくれる可能性が高いです。
しかし、買取にすると仲介売却で得られる利益の6割になってしまうので、高利益を得るというより、損失を防ぐというニュアンスになります。

仲介で売りに出して何年も売れ残るのと比較すると高く売れるため、慎重に検討してみましょう。

□まとめ

マンションを売るタイミングを決める際に考慮することは、築年数や住宅ローン、税金、環境があります。
中でも、税金の税率は所有期間によって異なるため、ご自身の所有期間が5年以下かそれ以上かを確認しましょう。
また、12月や8月は売却しにくくなるため、その他の月で売り出すことをおすすめします。
売却を成功させるためには、できるだけ早めに始めることが重要です。
売却すると決めた場合は、すぐに準備に取り掛かるようにしましょう。