はじめに
1970年代の高度成長と急速な核家族化により、いま東京の郊外や下町を中心に空き家が急増しています。
中でも都心から少し外れた墨田区は、長年東京の下町として知られる人口密集地ですが、近年は地元住民の高齢化が進み、古い木造家屋の空き家が増えています。
一方で墨田区は東京スカイツリーや浅草などの有名観光地があり、都内有数の繁華街である錦糸町を抱えています。
そのため近年は人口流入が多く再開発の機運が高まり、墨田区内の空き家をどのように有効活用するかが、重要課題の1つになっているのです。
そこで今回は墨田区における空き家の現状と課題を始め、墨田区が独自に行っている取り組みや、空き家を有効活用するポイントを徹底解説していきます。
墨田区における空き家の推移と今後の課題
墨田区の土地統計調査によれば、区内の空き家の総数は平成25年度で15570戸に上り、空き家率は平成20年から平成25年度に10%増加し、東京全体の空き家率と同率になっています。
・適正な管理がされていない空き家も多い
出典:墨田区 空家等対策計画
このうち空き家として適正に管理されていない可能性のある「その他の空き家率」が3.0%になり、実数で4000戸以上(3.0%)も確認されています。
これらの空き家は今後長く放置すると倒壊の危険が高まるため、行政や民間企業による積極的な土地取得や、適切なリノベーションによる有効活用が求められています。
・墨田区の人口は増えており住宅需要は高まっている
出典:平成 27 年国勢調査 人口等基本集計結果 ~ 墨田区の概要 ~
墨田区は高い空き家率を維持するものの、外国人観光客が多く訪れる東京スカイツリーや浅草などの有名観光地のほか、多数の飲食店が立ち並ぶ錦糸町があり、平成7年頃から人口流入が急増しています。
そのため墨田区内の住宅需要が大きく高まっており、バラバラに点在する空き家をどのように有効活用するかが、自治体、民間を問わず重要な課題になっています。
墨田区が進める空き家対策
東京都では平成24年から首都圏直下型地震で発生が懸念されている大規模火災に備えるため「木密地域不燃化10年プロジェクト推進事業」の実行を決定し、都内にある対象区域の木造家屋に対する助成金事業を推進しています。
墨田区の1部はこのプロジェクトの対象区域に指定されているため、区独自の「木密地域不燃化プロジェクト不燃化促進助成事業」を推進し、個人や法人が行う木造家屋の不燃化や、家屋の解体に関する工事費用の1部を助成しています。
・木造家屋の改修と解体に関する政策
不燃化促進助成事業は古い木造家屋が多く、人口が密集する京島周辺地区と鐘ヶ淵周辺地区を対象地域にしています。
また助成金の申請と不燃建築物の建築には、延べ面積が40㎡以上で2階建て以上などのさまざまな独自基準があり、最終的に墨田区の認定が必要です。
・状況に応じてさまざまな加算助成金がある
たとえば従来の木造家屋を不燃建築物に建て替える場合の基本助成金は150万円で、元の建屋の解体や設計費用など、それぞれの状況に応じて基本助成金に上記の助成金が加算されます。
さまざまな項目で加算助成があるため、無事に申請が通れば空き家の建て替えや解体に大きく役立ちます。
ただし助成金の申請方法はかなり複雑で、不動産オーナーが個人で行うのはハードルが高くなるため、信頼できる不動産業者を探して申請手続きを委託するのが一般的でしょう。
また墨田区では対象地域の不燃化を促進させるため「まちづくりコンシェルジュ」という相談窓口を設置し、建て替えや家屋の解体に関する、さまざまなアドバイスを行っています。
墨田区の空き家を有効活用する3つのポイントとは?
ここまでご紹介した通り、墨田区は人口流入が進み、住宅需要が高まりと共に空き家の有効活用が求められています。
また墨田区の再開発に伴う不燃化促進助成事業も追い風になり、いま古い空き家の建て替えや解体工事を行えば、さまざまな助成金の申請が可能となります。
この章では空き家の建て替えを前提に、土地や建物を有効活用する重要ポイントを3つ取り上げ、詳しくご紹介していきます。
・空き家の商業利用を考える
当たり前の話ですが、空き家というのは人が住まなくなり不要になったからこそ、そのまま空き家として放置されることが多くなります。
実際に空き家を持つ不動産オーナーも、両親や親族の家を相続して空き家のオーナーになる方が非常に多く、空き家を有効利用できないまま放置するか、持て余して不動産業者に安値で売却するケースがよくあります。
しかしその空き家が幹線道路に面していて人通りが多ければ、飲食店用の店舗に建て替えて新規にテナントを募集した方が、より有効活用できることがあります。
また墨田区では人口の増加と共に駐車場の需要が年々高まっているため、老朽化した家屋を墨田区の助成金で取り壊し、月極駐車場やコインパーキングに転用するプランも有望でしょう。
ちなみに都心に近い駐車場は月極よりもコインパーキングの方が収益率は高く、経営全般を運営会社に任せることができるため、オーナー側の業務負担を少なくできます。
・建て替える家の賃貸活用を考える
墨田区は小規模な工場や飲食店が多いため従業員向けの住宅需要が常にあり、古い空き家を簡易的にリフォームし、リーズナブルなシェアハウスに転用することがよくあります。
しかしこの場合は住宅に付属しているトイレやガス、水道などの付帯設備が老朽化し、さらに窓やドアの開け締めもしづらくなり、入居者と家主がトラブルを起こす恐れがあります。
対して不燃化を施した新築の建て替え住宅を貸家やシェアハウスに転用すれば、付加価値が生まれて高い家賃で賃貸活用することが可能になります。
・建築コストと将来の収益性を業者と一緒に考える
上でご紹介したプランは、ただ闇雲に計画を立てて行っても成功する確率は低くなります。
このような場合は地域の事情によく精通し、土地活用や建物の商業利用に詳しい優れた不動産業者が必要で、同時に確かな技術で施工ができる建設会社の両方が必要になります。
この両者とよく相談しながら、建築コストと将来的な収益性を照らし合わせ、無理のない活用プランを作ることが大切です。
まとめ
本記事では墨田区の空き家の現状と、木造家屋に関する墨田区独自の取り組みや、空き家を有効活用するポイントをご紹介してきました。
繰り返しとなりますが、墨田区の不燃化促進助成事業への助成金申請は、不動産オーナーの方が個人で行うのは、相当に難しいのが現状です。
さらに木造家屋の解体と建て替え工事に加え、その後の有効活用までを専門家も交えず全部1人で行うことは、ほぼ不可能に等しいでしょう。
逆に考えれば優れた不動産業者とオーナーがよく相談しつつ、二人三脚でこれらを行えば、空き家を有効活用できる可能性が大きく高まります。
弊社では土地や建物に関する、さまざまアドバイスを行っております。もしもお困りの方がいらっしゃいましたら、ご遠慮無く何なりとご相談下さい。
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