土地売却を検討している方は知っておくべき!ふるさと納税の上手な活用法

土地を売却すると、税金がかかってしまいます。
そのため、少しでも節税したいと思われる方は多いでしょう。
そこでおすすめなのがふるさと納税の活用です。
実は、ふるさと納税は自治体から返礼品がもらえるだけでなく、税金の控除対象であり、節税対策に非常に役立つものなのです。
この事実を知らず、ふるさと納税を上手に活用している方は少ないです。
土地売却とふるさと納税には深い関係があるため、どのように活用できるか把握しておきましょう。
今回は、土地売却とふるさと納税について紹介します。

□土地を売却すると税負担が重くなる

まずは、土地を売却した際の税金の仕組みを把握しましょう。

土地を売却したときに発生する利益は、「譲渡所得」と呼び、所得税や住民税の対象となります。
譲渡所得は、「譲渡対価-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」で求めることができます。

譲渡対価は土地売却で買主から受けとるお金です。
売却代金以外にも、固定資産税の精算金も含まれています。

取得費は、取得価額や不動産取得税、登録免許税などの税金、仲介手数料や測量費などもあります。

譲渡費用は、土地売却の際にかかる費用です。
仲介手数料や印紙税などが対象です。

特別控除額は、故人が住んでいた空き家を売却した場合などの一定要件を満たした際に差し引く費用です。
適用する場合は、要件をしっかりチェックするようにしましょう。

□ふるさと納税の仕組みとは?

ふるさと納税という言葉を聞いたことがあるものの、正直仕組みを分かっていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
土地売却の際に活用できるふるさと納税についても、仕組みを理解しておきましょう。

そもそもふるさと納税が生まれた背景は何なのでしょうか。
それは、今は都会に住んでいるが、子供の頃に育ったふるさとに何か恩返しができないかと考える人が増えたからです。
そして、ふるさとに寄付し、その分を住んでいる自治体の納めた税金から控除する仕組みであるふるさと納税が生まれました。

そんなふるさと納税には、さまざまな魅力があります。

*日本各地の名産品を受け取れる

ほとんどの自治体が、寄付への感謝として地域の特産品やサービス券などの返礼品を贈ってくれます。
地域の特産品の消費が増加するだけでなく、この返礼品を通じて地域の魅力を多くの人に広めることができます。
自治体もできるだけ多くの寄付金を集めるために、魅力のある返礼品を用意しているので、ふるさと納税をすることで、日本各地にある名産品を堪能できます。

*応援したい自治体を選べる

ふるさと納税は、地震や台風などの自然災害で大きな被害を受けた地域や旅行に行って魅力を感じた自治体など、自分の生まれた地域以外の自治体にも自由に寄付できます。
控除額を上手に活用し、多くの地域に寄付してみてはいかがでしょうか。

*お金の使い道を選択して寄付できる

ふるさと納税ができる自治体には、自然や環境を保護するための活動や子供が遊べる公園の整備費用など、寄付金の使い方を選べるところもあります。
そのため、自分が寄付した税金が社会に役立っているというやりがいも感じられます。

このようにさまざまなメリットがあるので、一度ふるさと納税についてチェックしてみてはいかがでしょうか。

□ふるさと納税には上限額がある!

ふるさと納税の基本的な仕組みを解説しましたが、ふるさと納税には上限額があります。
高い節税効果を発揮するために、上限額を適切に把握しておきましょう。

*所得が増えると納税上限額も増える

ふるさと納税の上限額は、所得によって異なります。
所得が高ければ高いほど、上限額も引き上げられます。
そのため、高所得の方ほど控除額が大きくなります。
高所得の方は、元の課税額が高いので、できるだけ負担を軽減できるようにするためです。

しかし、ふるさと納税は控除額を増やして得するという側面もありますが、損をしないための制度であるという側面が強いです。
寄付額を多くしたからといってお得になるとは限らないので注意しましょう。

*家族構成によっても上限額は異なる

先ほどもお伝えしたように、所得に応じて上限額は決められますが、家族構成も上限額に関わります。
同じ所得であっても、「独身と共働き」「夫婦(配偶者の収入はなし)」のケースでは上限額は変わります。
また、子供の数や年齢によっても異なるので、自治体に確認するようにしましょう。

*上限を超えた場合は寄付

ふるさと納税による節税効果は、所得と家族構成による上限額までと決められています。
そのため、上限額を超えた場合、その分は完全に寄付として充てられます。
単純に寄付目的でふるさと納税をするなら特に問題はありませんが、節税をするためにふるさと納税をするなら上限額を超えないようにする必要があります。

*自己負担が2,000円

ふるさと納税は、上限額までなら寄付をした金額すべてが控除されるわけではありません。
自己負担額として2,000円が設けられており、控除の対象は2,000円を超えた金額です。
そのため、2,000円以内の寄付では節税効果はありません。

ふるさと納税をして必ず得をするわけではない理由は、この自己負担分にあります。
税金が控除されても、自己負担分2,000円で損をする可能性もあります。
もちろん、自己負担分を考慮しても得になることはあるので、収支を計算してからふるさと納税をするか決めましょう。

ただ、返礼品をもらえるので買い物をしたぐらいだと考えれば損をしているわけではないでしょう。
2,000円分の返礼品をもらい、さらに節税効果があるので、一般的にはお得になることがほとんどです。

□ふるさと納税を行うタイミングと確定申告

土地を売却して節税対策としてふるさと納税をする場合、正しいタイミングで行わないと意味がなくなってしまいます。
そのようなことにならないように、ふるさと納税と確定申告のタイミングを知っておきましょう。

*売却益が出た場合

土地を売却し、利益が発生した場合は、その年の年末までにふるさと納税の手続きを行いましょう。
確定申告は、翌年の3月15日までに完了させます。
確定申告では、不動産売却益の申告とふるさと納税の寄付金控除の申告をしましょう。

*売却益が出なかった場合

売却益が発生しなかった場合、ふるさと納税の上限は増加しません。
土地売却に関する確定申告は行う必要がないので、ふるさと納税の寄付金控除の申告を行いましょう。

なお、売却をして損失が発生した場合、税金が還付される制度を利用できることもあります。
この制度を利用するには、確定申告が必要なので、損失が出た方はその制度を利用できるかどうかを確かめてみましょう。
ただし、この制度を利用するとふるさと納税の上限に影響を与える可能性があるので注意しましょう。

□土地売却をする年のふるさと納税の注意点

ふるさと納税と確定申告のタイミングについて紹介しましたが、大きく2つの注意点があります。

・ワンストップ特例制度を利用しない

ワンストップ特例制度とは、控除に必要な申告手続きの一部を寄付先の自治体が代わりに行ってくれるものです。
手続きは、ふるさと納税をする際に「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を寄付先の自治体に提出するだけです。

しかし、ワンストップ特例制度を利用するには条件を満たす必要があります。
その条件とは、「確定申告を行う必要がない給与所得者である」「ふるさと納税先の自治体が5か所以内である」です。

確定申告の機会が少ない給与所得者にとって、非常に利便性の高いものですが、不動産譲渡所得の申告や住宅ローン控除などの申告には確定申告が必須です。
すでにワンストップ特例制度で寄付先の自治体に寄付金控除申請を提出していても、確定申告をしたタイミングで無効になります。
そのため、確定申告の予定がある場合、ワンストップ特例制度は利用しない方が良いでしょう。

・提出書類はまとめて直しておく

ふるさと納税に必要な書類は、ひとまとめにして保管しておきましょう。
寄付のたびに寄附金受領証明書が送られてくるので、それらもまとめておくことをおすすめします。
そうすることで、確定申告の時期になったときにゆとりを持って準備することができるでしょう。
2021年分からはe-taxで確定申告する場合、寄付証明XMLファイルを提出していれば寄附金受領証明書は必要ありませんので、把握しておきましょう。

必要書類は以下の通りです。
・寄附金受領証明書か特定事業者の寄付証明XMLファイル
・通帳またはキャッシュカード
・源泉徴収票
・マイナンバーに関する書類

□「3000万円特別控除」と「住宅ローン控除+ふるさと納税」どっちが得なの?

マイホームを売却する場合は、譲渡所得が3,000万円以下であれば「3,000万円特別控除」を適用できます。
この特例を利用することで、課税対象である所得は0になり、所得税と住民税もかかりません。

しかし、土地売却にはこの特例は利用できません。
譲渡所得がそのまま計上されるので、ふるさと納税の上限も引き上げられます。
なお、相続した住宅を取り壊し、その後売却したケースであれば特別控除を利用できることもあります。

どの控除制度を選択するか次第でふるさと納税の節税効果が異なるので、申請前に必ずチェックするようにしましょう。

□まとめ

土地を売却する際、大きい利益ほど課税額も増加します。
しかし、土地売却では活用可能な節税対策は限られており、その中でもふるさと納税は貴重な制度の1つです。
ふるさと納税であれば、所得に応じた上限額まで所得税と住民税を控除することができ、大きな節税効果を期待できます。
必ずしも得をするわけではありませんが、返礼品を贈ってもらえるので十分なメリットはあります。
少しでも税負担を抑えたいという方は、ふるさと納税を検討してみてはいかがでしょうか。
注意点やタイミングなどもお伝えしたので、ぜひそちらも参考にして、節税を成功させてくださいね。

この記事の監修者

三好 海斗(みよし かいと)

株式会社セルフリジェネレーション 代表
宅地建物取引士
不動産賃貸経営管理士
既存住宅アドバイザー
1988年生まれの福島県出身。不動産業歴は14年。不動産賃貸・売買仲介をはじめ、投資用不動産、中古不動産仕入れ再販、中古不動産×リノベーションなど様々な不動産企業で経験を積み、 株式会社セルフリジェネレーションを設立。2021年にメディア取材や自社サービスや取組みが各メディア(55社の媒体)へ掲載される。