親が認知症になり、実家が空き家になっているという方はいらっしゃいませんか。
その空き家を放置しているとさまざまなリスクがあります。
また、親の名義の家は簡単に売却することができません。
そこで、今回は空き家を放置するリスクや親の名義の家を売却する方法について紹介します。
□空き家を放置するリスクとデメリット
空き家を放置していると、さまざまなリスクが伴います。
ここでは、リスクやデメリットを5つ紹介します。
1つ目は、固定資産税などの維持費がかかることです。
使い道のない空き家や土地でも、毎年固定資産税がかかります。
空き家や土地の固定資産税評価額によりますが、毎年数十万円近くの固定資産税がかかることもあります。
さらに、空き家を放置し続けると「特定空き家」に認定され、固定資産税の減免制度を受けられなくなります。
そうなると、最大6倍まで固定資産税の金額が上がるので注意しましょう。
2つ目は、住宅や土地の価値が下がってしまう可能性があることです。
人が住んでいない空き家は老朽化が進みやすくなり、放置していると住宅の価値が下がります。
また、少子高齢化が進んでいるため土地の価格もだんだん下落していくことが予想されています。
そのため、長期間空き家を放置していると不動産の売り時を逃し、売却益が減少する可能性があります。
3つ目は、放火や犯罪に使用される可能性があることです。
空き家は放火や犯罪に使用される危険性があります。
万が一空き家が放火被害に遭うと、発見が遅くなり火災の規模が大きくなることも考えられます。
放火だけでなく、犯罪者が住みついてしまう可能性や不法投棄場所として利用される可能性があります。
4つ目は、周辺景観の悪化につながる可能性があることです。
空き家を放置していると周辺景観の悪化につながります。
そして、地価の下落を招いてしまうので、周辺地域に住む人や会社などからクレームを受け、自治体から是正勧告される可能性もあります。
5つ目は、災害時に倒壊する可能性があることです。
老朽化した空き家は、災害が発生すると倒壊する可能性があります。
空き家が倒壊すると、隣の家に被害をもたらす可能性もあり、さらには通行人にケガをさせてしまう危険性もあります。
損害賠償トラブルにつながるケースもあるので、注意しましょう。
□認知症の親の名義の空き家を売却する方法
親が認知症になった場合、どのように売却するのがいいのでしょうか。
・親が亡くなって相続した後に売却する
親が亡くなった後に、相続で自分が正式に所有者となり、売却するという方法があります。
しかし、それまでは売却できないので空き家を管理するしかありません。
管理に費用がかかったり、空き家の状態の間にトラブルが起きたりする可能性もあり、お金が必要なときに売却できないのはストレスを感じるかもしれません。
・成年後見制度を利用して売却する
認知症などの判断能力に欠く人のために、「成年後見制度」があります。
成年後見人になった人は、所有者でなくても売却できる制度です。
成年後見人は、本人に代わり財産の管理をします。
この制度で重要な点は、「意志能力に欠ける人のためのサポートをする」ことです。
成年後見人になり、家の売却をする場合でも、売却で得た利益を自分の生活費に充てることはしてはいけません。
あくまでも、認知症になった親のために使用することが求められます。
□認知症となった親の空き家を売却する際の注意点
1つ目は、売却が認められない場合があることです。
成年後見制度を利用した場合、必ず実家の売却が裁判所に認められるとは限りません。
成年後見人は、親の財産を守るという役割を担っているため、売却を認めてもらうために実家を売却するだけの理由を説明できるようにしておく必要があります。
2つ目は、売却までに時間がかかることです。
親の認知症が重症になった後に実家を売却する方法は、成年後見制度しかありません。
しかし、成年後見申立の準備から完了するまでは、3~6ヶ月ほどかかります。
売却期間も考慮すると1年以上かかるので、売り時を逃したり、希望価格での売却ができなかったりする恐れもあります。
そのため、親が元気なうちや認知症の症状が軽い間に家族信託を結び、必要になったときに実家の売却手続きを行いましょう。
3つ目は、住宅ローンが残っている場合の売却は難しいことです。
一般的に住宅ローンが残っている自宅を売却する場合は、住宅ローンを繰り上げ返済し、完済した後に売却を行います。
しかし、親が認知症になり判断能力が失われると住宅ローンの繰り上げ返済が認められない可能性が高いので注意しましょう。
□まとめ
空き家を放置していると、固定資産税がかかったり、さまざまな被害に遭ったりする可能性があるので、きちんと管理をするか、売却するかの手段をとりましょう。
成年後見制度を利用する場合は、最低でも4・5ヶ月以上は必要であるため、できるだけ早く取りかかるようにしましょう。