任意売却と競売の違いについてご存じでしょうか。
任意売却は、債務者が自身の意思に沿って売却を進めますが、競売は、債権者が裁判所に依頼し、債務者の意思に関わらず強制的に売却が進められます。
今回は、任意売却と競売の違い、競売のメリット・デメリット、競売の流れについてご紹介します。
□任意売却と競売の違いとは?
任意売却とは、住宅ローンなどの借入金が返済できなくなった場合に、売却した後も残債務がある不動産を金融機関の合意を得て売却する方法です。
住宅ローンを滞納・延滞すると、債務者がローンを分割で返済する権利が失われてしまい、お金を貸した金融機関は残っている住宅ローンの金額を一括で返済することを要求されます。
残った債務を一括で返済できれば解決しますが、返済できないと、担保となっている自宅を金融機関が強制的に売却し、その売却代金から住宅ローンの残りの返済額を回収します。
では、任意売却は競売と何が違うのでしょうか。
任意売却は、売却しても借入金を全額返済できずに債務が残りますが、そのほかは通常の不動産売却と同じです。
任意売却は任意で売却しますが、競売は正式には一般競争入札と言い、債務者が債務者や連帯保証人が所有する不動産の売却を裁判に申し立てて、承諾されてから売却が始まります。
任意で売却するのとは異なり、競売に出されると明け渡し時期などは何も自分で決められません。
また、返済方法や返済額などにおいて希望が通りやすい任意売却と異なり、競売では、競売費用が遅延損害金などから上乗せされていくので、借入金は増えていくばかりです。
また、競売の場合は、室内を内覧しないで購入するので、自ずと任意売却より安価な売却となってしまう可能性も高いです。
□競売のメリット・デメリットについて
*メリット
1つ目は、売却の手間がかからないことです。
競売は、債務者本人が売却を進める必要はなく、任意売却に比べて何もしなくて良いというメリットが挙げられます。
2つ目は、任意売却よりも長く住める可能性があることです。
任意売却はスピード重視で売却活動を行いますが、競売は約9〜12ヶ月の時間がかかるので、任意売却に比べて長い間住み続けられます。
また、郊外であれば、入札者が現れずいつまでも家が売れないだけになるので、債務者にとっての不利益は小さいと言えるでしょう。
3つ目は、売却金額が住宅ローンに充てられることです。
競売が行われると、家は落札者に売却され、売れた代金はローンの返済に充てられるため、ローンの残債を大きく減らせるでしょう。
*デメリット
1つ目は、所有物件の情報が競売情報として世間に出ることです。
競売は、公告日を迎えると、裁判所や不動産競売物件情報サイトなどで閲覧できるようになります。
また、インターネットに情報が載るだけではなく、裁判所の執行官が調査のために訪問したり、近隣住民に聞き込みを行ったりするので、近隣の人にローンを返済できていないことを知られてしまいます。
2つ目は、強制的に立退が迫られることです。
退去は明け渡し催告で言い渡された日に強制執行され、拒否できません。
所有者の名義が移動すると、自宅は落札者のものになるので、名義が移動しても住み続けると不法占拠に該当します。
不法占拠が長期にわたると、最終的に裁判所の執行官によって強制的に家財道具は全て運び出され、退去させられることになり、2度と入れないように鍵も交換されます。
□競売の流れについて
まずは、住宅ローンの一括返済が求められます。
住宅ローンを数ヶ月滞納すると、一括返済を求められ、返済の見通しが立たなくなると、金融機関の求めに応じて保証会社が金融機関に残債を返済します。
保証会社が返済すると、債務者が保証会社に返済を求められます。
ここで一括返済ができないと、競売に出すことが決まります。
次に、競売開始決定の通知が届きます。
競売が開始すると、現状調査が行われ、この調査を基に評価書が作成されて裁判所に提出されます。
入札されると、現状報告書、評価書、物件明細書などの必要書類ができ、債務者に入札期間や開札期日が記載されている通知が送付されます。
そして、入札した人が裁判所の指定の期日までに入札価額から保証金を引いた金額を一括で払います。
最後に、所有権の移転登記が行われ、落札者が正式にその不動産の所有者になります。
登記に必要な登録免許税は、落札者の負担になり、問題がなければこの後物件へ入居できます。
引き渡しが進まない場合は、裁判所に引渡命令の申し立てを行うことも可能です。
□まとめ
今回は、任意売却と競売の違い、競売のメリット・デメリット、競売の流れについてご紹介しました。
競売にもメリットがありますが、自分の意志で売却は進まないということを把握しておきましょう。
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