マンションの売却時に注意することを解説します!

この記事の監修者

三好 海斗(みよし かいと)

株式会社セルフリジェネレーション 代表
宅地建物取引士
不動産賃貸経営管理士
既存住宅アドバイザー
1988年生まれの福島県出身。不動産業歴は14年。不動産賃貸・売買仲介をはじめ、投資用不動産、中古不動産仕入れ再販、中古不動産×リノベーションなど様々な不動産企業で経験を積み、自身でも自宅、投資用不動産等で5回不動産購入・売却を経験。2020年にセルフリジェネレーションを設立。2021年にメディア取材や自社サービスや取組みが各メディア(55社の媒体)へ掲載される。

マンション売却は、多くの人にとって一生に一度か二度の大きな取引です。
その重要性を考慮すると、どのような手続きが必要なのか、何に注意すべきなのかをしっかりと理解することが不可欠です。
この記事では、マンション売却の全体的な流れから、売却前、売却中、そして売却後に至るまでの各ステップでの注意点を詳細に解説します。
マンションを売却したいと考えているあなたにとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

□マンション売却の流れ

1.事前準備

マンション売却の第一歩は、売却価格をどう設定するかという疑問から始まります。
この段階では、新居の購入費や引越し費用も計算に入れるべきです。
価格設定は、後の交渉においても大きな影響を与えるため、慎重な検討が必要です。

・スケジュールの整理
マンション売却は通常3〜6ヶ月を要するとされています。
売却希望の時期から逆算して、計画的に行動することが成功の鍵です。

新生活が始まる4月に向けて、マンション市場は2〜3月に活況を呈します。
この時期に売却を考慮する場合、前年の8〜9月には事前準備を始めると良いでしょう。

・書類の準備
売却に必要な書類を事前に整えることで、スムーズな進行が期待できます。
また、購入希望者に対しても情報を透明に共有できるため、信頼性が高まります。

2.査定

・机上査定の利点と制限
机上査定は、短期間で大まかな売却価格を知る手段として有用です。
しかし、その精度は訪問査定には及びません。

・訪問査定の精度と手間
訪問査定は時間と手間がかかりますが、その分、精度の高い査定が期待できます。
特に、売却が確定している場合は、訪問査定を選ぶことをおすすめします。

3.媒介契約を結ぶ

・媒介契約の種類とその特性
一般媒介、専任媒介、専属専任媒介があり、各契約には特有のメリットとデメリットがあります。
自分のニーズに合った契約を選ぶことが重要です。

4.売買契約

・重要事項説明と契約書
売買契約前には、重要事項説明が必須です。
この段階で、双方の条件が明確になります。

・違約金のリスク
売買契約後に売却を中止すると、違約金が発生する可能性があります。
このリスクを避けるためにも、契約前の検討が重要です。

5.確定申告

・確定申告の期間とペナルティ
売却による譲渡所得は確定申告の対象となります。
期間を逃すと、重いペナルティが科される可能性があります。

・節税の可能性
確定申告を適切に行うことで、節税や還付の可能性もあります。
税務に関する知識をしっかりと身につけ、最適な手続きを行いましょう。

□マンション売却時にかかる費用

マンションの売却は、一見すると単純な取引に見えがちですが、その裏には多くの費用が潜んでいます。
売却代金がそのままポケットに入るわけではなく、いくつかの費用が必ず発生します。

1.仲介手数料
仲介手数料は、マンションが無事に売れた際に不動産会社に支払う費用です。
この手数料は、マンションの売却価格に応じて変動します。
具体的には、売却価格が400万円以上の場合、最大で売却価格の3%に加えて6万円が必要です。
例えば、マンションが4,000万円で売却された場合、仲介手数料は約126万円となります。

2.譲渡所得税
マンション売却で利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税が課されます。
この税金は、マンションの所有期間によって税率が変わります。
所有期間が5年未満の場合、合計税率は39.63%、5年以上の場合は20.315%です。
購入価格が大幅に下がっている場合、この税金は発生しません。

3.登記費用
マンション売却には、登記内容の変更手続きが必要です。
この手続きにかかる費用は、通常、売主が負担します。
抵当権の抹消手続きにかかる費用は約2,000円、さらに司法書士に依頼する場合は1万5,000円から2万円が追加でかかります。

4.印紙代
最後に、マンションの売買契約書には収入印紙が必要です。
この印紙代は、売却価格によって変わります。
例えば、4,000万円でマンションを売却した場合、印紙代は10,000円です。
通常、売買契約書は売主と買主で各1通ずつ作成され、それぞれが印紙代を負担します。

以上の情報を踏まえ、マンション売却時にかかる費用をしっかりと把握することで、資金計画が狂うことなく、スムーズな売却が可能です。
各種費用を計算し、手取り額を最大化するための戦略を練りましょう。

□マンション売却前の注意点

マンション売却は、一度きりの大きな取引です。
そのため、事前にしっかりと準備をしておくことが成功の鍵となります。
マンション売却前に考慮すべきポイントを詳しく解説します。
これからマンションを売る方、売却を考えている方にとって、必見の情報です。

*売却タイミングはマンション市場の活発な時期を狙う

中古マンション市場は、特に2〜3月にかけて活気を見せます。
これは、新生活が始まる4月に向けて、購入希望者が増えるからです。
売却活動を始める際には、このような市場の動きをしっかりと把握し、最適なタイミングを狙いましょう。
また、売買契約が成立するまでには3か月から半年程度の時間がかかるため、遅くとも前年の10〜12月上旬には査定依頼や不動産会社選びを始めることをおすすめします。

*売却期間の設定は計画的な行動が成功を呼ぶ

売却期間を明確に設定することで、焦りを防ぎ、計画的な行動が可能となります。
例えば、「半年経っても売れない場合は買取を考慮する」といった方針を事前に決めておくと、スムーズな売却が期待できます。
買取を行っている不動産会社を選ぶ場合は、その点を事前に確認しておくことが重要です。

*契約方法の選定は自分に合った媒介契約を

媒介契約は、売主と不動産会社が結ぶ契約であり、その種類は3つあります。
専属選任媒介契約、専任媒介契約、そして一般媒介契約です。
それぞれの契約には特長があり、例えば専属選任媒介契約は、手厚いサポートが受けられる一方で、専任媒介契約は連絡の頻度が少なくても問題ありません。
一般媒介契約は、複数の不動産会社に競ってもらいたい場合に適していますが、その場合は自分から積極的に連絡を取る必要があります。

□マンションの売却活動時に注意する事

*売り出し価格の設定は高すぎず低すぎず

売り出し価格の設定は、売却成功のための最初のステップです。
高すぎる価格を設定すると、買い手が遠ざかり、結局は値下げを繰り返す羽目になります。
逆に、低すぎる価格では、価格交渉でさらに値下げを余儀なくされ、損をする可能性が高くなります。
市場価格をしっかりと調査し、リアルな価格設定を心がけましょう。

*内覧の準備は第一印象が命

内覧は、売却活動の中で非常に重要なポイントです。
部屋の掃除はもちろん、水回りの清掃にも特に注意が必要です。
購入検討者は、これらのポイントを非常に重視します。
ハウスクリーニングを利用するなど、内覧に向けての準備を怠らないようにしましょう。

*購入検討者への対応は細やかな気配りがカギ

内覧に訪れた購入検討者への対応も、売却成功に影響を与えます。
特別なことをする必要はありませんが、質問には丁寧に答え、スリッパを用意するなどの気配りを忘れないようにしましょう。

*瑕疵の開示をする

マンションに瑕疵(欠陥や傷、故障など)がある場合、これを隠してはいけません。
隠したまま売却してしまうと、後に大きなトラブルに発展する可能性があります。
瑕疵がある場合は、不動産会社や購入検討者に対して正確に情報を提供しましょう。

瑕疵に関する判断は非常に難しく、何が瑕疵に該当するのか、どの程度を開示すべきなのかは専門家のアドバイスが必要です。
不動産会社に相談することで、適切な対応が可能となります。

□マンション売却後の注意点

マンションの売却が完了したからといって、その後の手続きを怠ると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
売却後に特に注意すべきポイントを詳しく解説します。

1.管理組合への報告を行う
売却が完了したら、最初に行うべきはマンション管理組合への報告です。
この報告を怠ると、管理費や修繕積立金が引き続き引き落とされる可能性があります。
特に、滞納がある場合には、すべて清算しておく必要があります。
この手続きは、売却後すぐに行いましょう。

2.確定申告を忘れない
マンション売却で益が出た場合、確定申告が必須です。
会社員であっても、この利益は給与所得以外の所得となるため、確定申告を行う必要があります。
確定申告を怠ると、税務署からの厳しい調査が入る可能性があります。
延滞税という罰則もあるので、確定申告は必ず行いましょう。

3.税制の特例
確定申告をする際には、各種税制の特例が適用される場合があります。
例えば、売却損が出た場合、確定申告をすることで支払済の所得税について還付を受けられます。
また、損失額が単年の課税所得額を上回る場合は、その後数年にわたって譲渡損失を繰り越すことも可能です。
このような特例を活用することで、税金の負担を軽減できます。

以上の3つのポイントをしっかりと押さえ、売却後も安心して次のステップに進めます。
売却が完了したからといって手を抜かず、最後までしっかりと手続きを行いましょう。

□まとめ

マンションの売却は単なる取引以上のものです。
それは、あなたの貴重な資産を他人に託す行為であり、その過程で多くの法的、財務的な要素が絡む複雑なプロセスです。

この記事を通して、売却の各フェーズでの注意点を解説しました。
売却前には物件の評価と費用の計算、売却活動中には価格設定と内覧対策、そして売却後には税務処理と管理組合への報告など、一つ一つのステップが成功へと繋がります。
この記事が、あなたのマンション売却がスムーズで利益を最大化するための参考になれば幸いです。
マンションの売却を検討されている方は、お気軽に当社までご相談ください。