不動産の贈与税が非課税になるのはどういうとき?

この記事の監修者

三好 海斗(みよし かいと)

株式会社セルフリジェネレーション 代表
宅地建物取引士
不動産賃貸経営管理士
既存住宅アドバイザー
1988年生まれの福島県出身。不動産業歴は14年。不動産賃貸・売買仲介をはじめ、投資用不動産、中古不動産仕入れ再販、中古不動産×リノベーションなど様々な不動産企業で経験を積み、自身でも自宅、投資用不動産等で5回不動産購入・売却を経験。2020年にセルフリジェネレーションを設立。2021年にメディア取材や自社サービスや取組みが各メディア(55社の媒体)へ掲載される。

子供が育つと、さまざまな財産を贈与することがあるでしょう。
その際、贈与税がかかります。
贈与税がかかるのは嫌なので非課税にならないかと思われる方もいらっしゃるでしょう。
今回は、贈与税が非課税になる特例や条件、また状況別で非課税にする方法をご紹介します。

□親や祖父母からの贈与は一定額まで非課税になる?

人から財産を受け取ると、贈与税がかかりますよね。
家を建てるときに、資金贈与を受け取るという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、贈与税が非課税になるのかどうかについて解説します。

1年間に受け取った財産の合計が110万円以内であれば、贈与税は課税されません。
また、親や祖父母から住宅取得のための資金を受け取ると、「住宅取得等資金贈与の特例」という贈与税が非課税となる制度も適用できます。

例えば、2023年12月までに一般住宅の購入契約を結んだとします。
この場合、特例の非課税枠である500万円と基礎控除額110万円を合わせた610万円の贈与までの贈与税が非課税になります。
これだけでなく、耐震や省エネ、バリアフリー性能のいずれかが一定基準を満たしている住宅は非課税枠が500万円上がる優遇が受けられます。

しかし、これには注意点があります。
それは、贈与税の対象となるのは資金を贈与する人ではなく、資金を受け取る人だということです。

Aさんという人が、Aさんの父と祖父から1000万円ずつ贈与を受け取り、住宅を購入したとします。
この場合、非課税になるのは2000万円のうち610万円までなので、Aさんは1390万円に対する贈与税を納める必要があるということになります。

□不動産購入資金の贈与で非課税になる特例の条件とは

一軒家やマンションなどの不動産の贈与ではなく、不動産を購入する資金の贈与を受け取ることはよくあることでしょう。
両親や祖父母から購入する資金を受け取った場合、適用条件を満たせば「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」という特例を適用できるということを先ほどもご紹介しました。
適用するためにはさまざまな条件があるので、ここではその条件について解説します。

適用するための条件は以下の通りです。

・父母や祖父母などの直系尊属からの贈与であること
・贈与された年の翌年3月15日までに贈与された資金を住宅取得資金に利用し、同年12月31日までに住むこと
・贈与を受けた人がその年の1月1日時点で18歳以上であること
・贈与を受けた人のその年の所得額の合計が2,000万円以下であること
・贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告を忘れずに行うこと

また、適用できる住宅の条件もあります。

・耐震等級2以上または免震建築物であること
・高齢者への配慮対策等級3以上であること
・性能等級4または一次エネルギー消費量等級4級以上であること

特例を適用するためにはこれらの条件を満たす必要があります。

また、特例で贈与税がかからなかったとしても、贈与税の申告は必須となっています。
申告をすることで、特例が適用されるのできちんと申告をするようにしましょう。

□贈与税を非課税にする方法とは?

これまで、贈与を受け取ったときに適用できる特例についてご紹介しました。
ここからは状況別で贈与税を非課税にする方法をご紹介します。

*配偶者控除

配偶者から不動産を購入するための資金を贈与された場合、配偶者控除扱いとなり、2,000万円までの控除を受けられます。
配偶者控除は、婚姻してから20年以上が経っていること、過去に配偶者控除を受けていないこと、年度で数えて3月15日までに不動産を取得していることが条件です。

*相続時精算課税制度

この制度は、2,500万円以下の贈与の場合に贈与税を非課税にできるものです。
20歳以上の推定相続人である子供か孫が60歳以上の父母や祖父母から財産を贈与された際に適用できます。

この制度を活用するには、生前贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間にいくつかの書類を提出する必要があります。
贈与者・受贈者の氏名と生年月日が分かるもの、相続時精算課税選択届出書などさまざまな書類が必要です。

*教育資金の贈与

教育を目的とした資金を受け取った場合、子供1人あたり1,500万円以下だと非課税になります。
なお、学校以外の塾や習い事などの教育に関する資金は500万円までなので注意しましょう。
この制度は、受贈者が30歳未満で、金融機関に口座を開設していることが条件です。
30歳までに受け取った資金を使わなかった場合、残高に対して贈与税が課せられます。

状況別で贈与税を非課税にする方法をご紹介しました。
不動産の贈与以外でもこのように利用できる制度があるので、ぜひ調べてみてください。

□まとめ

今回は、贈与税が非課税になる特例や条件、また状況別で非課税にする方法をご紹介しました。
税金はさまざまなものに課せられるので、節税したいと思われる方がほとんどでしょう。
特例を適用するためは、さまざまな条件を満たす必要があるので、しっかりと条件を確かめましょう。